国民総トレード

　日本と韓国の全国民が総トレードされた。


　初めは、両国民ともに口をそろえて言った。
「なんということだ」
「これは、我々の歴史や文化を踏みにじる暴挙だ、許せん！」
　トレードされた国民たちは、なんとか自国に戻ろうと画策したが、全ては無駄だった。
「くそう、これから俺たちは韓国人として生きていくしかないのか」
「ちくしょう、日本人になるなんて屈辱だ」
　そうは言っても、もうそれぞれの国民として生きていくしかないのだ。そうなると、自国の歴史や文化について調べる必要も出てくる。
「なんと、韓国にはこのような歴史が」
「日本の文化はこうなっていたのか」
　こうして、両国は互いの理解を深め、反日反韓の風潮は薄まっていった。
　そして、総トレードから数年。ついに、両国間で友好条約が結ばれたのである。韓国大統領となったＡ氏と日本の総理大臣となったＭ氏は、そろって条約に調印し、握手を交わした。



























　もちろん、数十年後、再び両国関係は悪化してしまったが。