第10話 五等分
文字数 1,265文字
「ここは?」
俺はチムに質問する。
「ここは逃走したやつとか素行の悪い奴隷が入れられる独房よ」
「なぜチムがいるんだ?」
チムが諦めの混じった声で言う。
「私も売られたのよ。私の雇用主に。あのゴミ、借金の当てとして私を闘技場に売りやがったの。それを知らずにあんたを引き渡しにまんまと私は奴隷になりにきたってわけ。おかしいと思ったのよ。あんたを売るためだけにわざわざ私が闘技場まで行くなんて。」
チムは続ける。
「それで、捕まる時に暴れて、今はあんたと一緒にこの中さ。」
「まさかあんたと同じ試合に出るとはね。」
チムが悲しそうに笑う。
「なんとかならないのか。」
俺は聞く。
「きっと無理ね、今回の猛獣は特に強いみたい。」
俺はため息をつく。きっと信じてはくれないだろうが、ダメもとでチムに聞いてみる。
「もし、証拠はないけど、俺は実は強いって言ったら信じる?」
「信じる訳ないでしょ。黙ってな。」
(だよなー)
***
この絶望的状況を打開するいい案を考えつくこともできず。とうとう俺たちの試合(処刑)の時間が来た。
俺とチムは手枷を外され、数人の兵士とともにゲートへ送られる。
ゲートを出ると、眩しい太陽と鼓膜が破れそうになるほどの歓声が俺たちを包んだ。他にも10人ほどの奴隷が兵士に連れられ、別のゲートから出てきた。皆一様にこれから起こる惨劇に絶望しているようだった。奴隷を円形のスタジアムの中央へ集めると、兵士たちは闘技場内の建物に戻り、ゲートを閉ざした。
少しするとゲートの一つから、コンビニくらいある巨大な猛牛が現れた。牛というよりはトリケラトプスに似ている。そいつの首輪から出ている2本の鎖を屈強な男たちが引っ張って、建物から出す。
目の前に絶望的な現実を突きつけられ、奴隷の中に何人かは声を出して泣き始めた。
俺は腰や肩に違和感を感じ、横を見てみると。手のひらサイズの小人が3人、肩の上に立っていた。逆の方を見るとこっちには2人いる。
「なんだお前たち?」
小人たちは順番に自己紹介する。
「イチカです」
「ニノです」
「ミクです」
「ヨツバです」
「イツキです」
なんだか聞いたことのある名前だったが、まあいい。
「なぜ俺の肩に乗ってるか聞いたんだ。」
小人の一人が得意げに答える。
「あなたこの中で、ダントツ弱そうです。弱そうな奴はきっと逃げるのがうまいのです。」
俺は小人にまで舐められるのか、とことん向いてない能力を俺は貰ったんだな。
そんな会話をしているうちに試合開始のゴングが鳴る。兵士たちは鎖をいっせいに放し、慌ててゲートに戻っていった。
奴隷たちは蜘蛛の子を散らしたように四方へ逃げる。巨大な牛は猛スピードで突進し、逃げれなかった奴隷の一人を天高く吹っ飛ばす。
なるほど今から闘牛のようなことをやればいいのか。ただし牛はコンビニくらいデカくて、突進にあたれば即死。奴隷の全員が死ぬかこの猛獣が戦闘不能になるまで終わらない。
ふざけんじゃねええ
逃げながら俺は心の中で叫んだ。
俺はチムに質問する。
「ここは逃走したやつとか素行の悪い奴隷が入れられる独房よ」
「なぜチムがいるんだ?」
チムが諦めの混じった声で言う。
「私も売られたのよ。私の雇用主に。あのゴミ、借金の当てとして私を闘技場に売りやがったの。それを知らずにあんたを引き渡しにまんまと私は奴隷になりにきたってわけ。おかしいと思ったのよ。あんたを売るためだけにわざわざ私が闘技場まで行くなんて。」
チムは続ける。
「それで、捕まる時に暴れて、今はあんたと一緒にこの中さ。」
「まさかあんたと同じ試合に出るとはね。」
チムが悲しそうに笑う。
「なんとかならないのか。」
俺は聞く。
「きっと無理ね、今回の猛獣は特に強いみたい。」
俺はため息をつく。きっと信じてはくれないだろうが、ダメもとでチムに聞いてみる。
「もし、証拠はないけど、俺は実は強いって言ったら信じる?」
「信じる訳ないでしょ。黙ってな。」
(だよなー)
***
この絶望的状況を打開するいい案を考えつくこともできず。とうとう俺たちの試合(処刑)の時間が来た。
俺とチムは手枷を外され、数人の兵士とともにゲートへ送られる。
ゲートを出ると、眩しい太陽と鼓膜が破れそうになるほどの歓声が俺たちを包んだ。他にも10人ほどの奴隷が兵士に連れられ、別のゲートから出てきた。皆一様にこれから起こる惨劇に絶望しているようだった。奴隷を円形のスタジアムの中央へ集めると、兵士たちは闘技場内の建物に戻り、ゲートを閉ざした。
少しするとゲートの一つから、コンビニくらいある巨大な猛牛が現れた。牛というよりはトリケラトプスに似ている。そいつの首輪から出ている2本の鎖を屈強な男たちが引っ張って、建物から出す。
目の前に絶望的な現実を突きつけられ、奴隷の中に何人かは声を出して泣き始めた。
俺は腰や肩に違和感を感じ、横を見てみると。手のひらサイズの小人が3人、肩の上に立っていた。逆の方を見るとこっちには2人いる。
「なんだお前たち?」
小人たちは順番に自己紹介する。
「イチカです」
「ニノです」
「ミクです」
「ヨツバです」
「イツキです」
なんだか聞いたことのある名前だったが、まあいい。
「なぜ俺の肩に乗ってるか聞いたんだ。」
小人の一人が得意げに答える。
「あなたこの中で、ダントツ弱そうです。弱そうな奴はきっと逃げるのがうまいのです。」
俺は小人にまで舐められるのか、とことん向いてない能力を俺は貰ったんだな。
そんな会話をしているうちに試合開始のゴングが鳴る。兵士たちは鎖をいっせいに放し、慌ててゲートに戻っていった。
奴隷たちは蜘蛛の子を散らしたように四方へ逃げる。巨大な牛は猛スピードで突進し、逃げれなかった奴隷の一人を天高く吹っ飛ばす。
なるほど今から闘牛のようなことをやればいいのか。ただし牛はコンビニくらいデカくて、突進にあたれば即死。奴隷の全員が死ぬかこの猛獣が戦闘不能になるまで終わらない。
ふざけんじゃねええ
逃げながら俺は心の中で叫んだ。