第1話

文字数 954文字

山奥にある小さな村、黒崎村。ここには古くから「暗闇の呪い」が存在すると言い伝えられていた。村人たちは日が沈むと家の中に閉じこもり、決して外に出ようとはしなかった。外に出れば二度と戻ってこないからだ。

ある日、都会からやってきた探偵、佐藤健一は、この謎を解き明かすために村を訪れた。村に着いた時、太陽はすでに山の向こうに沈みかけていた。村人たちの視線が彼に注がれたが、誰も何も言わなかった。彼は村の唯一の宿屋に泊まることにし、荷物を降ろした。

「ここには、何かがある…」

健一は自分の直感を信じていた。宿屋の主人、村上老人は彼に警告した。

「夜が来たら外に出てはいけない。暗闇が全てを飲み込む。」

その言葉に興味を抱いた健一は、さらに話を聞こうとしたが、村上老人はそれ以上話すことを拒んだ。その晩、健一は部屋の窓から外を眺めていた。月明かりが微かに照らす中、村の広場には誰もいなかった。しかし、遠くの森の中で何かが動いているように見えた。

「行くべきか、行かざるべきか…」

探偵としての好奇心が彼を突き動かした。健一はそっと部屋を出て、宿屋の裏口から外へと出た。冷たい風が肌を刺し、鳥肌が立つ。暗闇が彼を包み込み、視界がほとんど効かなくなる。だが、彼は確信していた。この先に何かがある。

健一は慎重に歩みを進め、やがて森の入り口にたどり着いた。木々の間を進むと、彼の耳に不気味な囁き声が響き始めた。誰かが彼の名前を呼んでいる。振り返っても誰もいない。それでも声は止まらなかった。

「佐藤健一…戻れ…ここにいてはいけない…」

その瞬間、彼の足元が崩れ、暗闇の中に落ちていった。目を覚ますと、彼は古い地下室の中にいた。壁には奇妙なシンボルが刻まれており、地面には無数の骨が散らばっていた。健一は恐怖に震えながらも、周囲を調べ始めた。

「これは一体…」

地下室の奥に、一冊の古びた本が置かれていた。開いてみると、それは黒崎村の歴史と呪いに関する記述だった。暗闇の呪いは、村を守るための古代の儀式から生まれたものだった。そして、その呪いを解くためには、特定の条件を満たさなければならないと書かれていた。

佐藤健一はその本を手に、出口を探し始めた。彼の前に立ちはだかる謎を解き明かし、暗闇の呪いから村を救うためには、全てを賭ける覚悟が必要だった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み