第2話「お食事しない」

文字数 1,250文字

「うわー、懐かしい!ウマイ!それでいてこれ500円だもんね、サイコー!」

 立ち話はあれってことで(というかお母さんが遠くからチラチラ見てくるので)、あれから家を出て近くのファミレスへ。
 チョコブラウニーパルフェとドリンクバー(メロンソーダ)を楽しむ男子。
 以上、状況説明。

「しかし感動だねー、僕の時代だとワンコインでこんなパルフェ食べれなくなっちゃったし、そもそもこれメニューからなくなっちゃうんだよねー。インフレは怖いねー。時代の流れは残酷だねー」

 ふむ、どうやらこの子はかなりの甘党らしい、まあ私も人のこと言えないけど(あんみつとミルクティーを注文済み)。
 ミルクティー。
 ティータイム。
 お食事。
 お食事デート?

「あ、でも僕って甘いもの、クミちゃん…クミコさんと会ってから食べたり飲むようになったんですよ。自販機でミルクセーキ買う人初めて見ました。僕はだいたいお茶か水なんで…」
「ふーん」

 とりあえずキリがないので、マサカズ君がパルフェのコーンフレークに差し掛かった辺りで話を戻すことにした。

「でだよ、マサカズ君とやら。話は戻すけど君が未来から来たってのは本当なのかな?」
「はい、そうです。さっきも簡単に説明しましたけど、

より先の未来からです」

 未来。
 未来から来た人。
 まさかず。見た目高校2年生(私と同い年)。
 未来人。
 以上、自己紹介…された事。

「まあ厳密に言うと今から十三年後あたりですね。なので僕は

三十歳。三十路ってやつなんですけどね」
「三十路ねー、でも全然見えないね。その制服からしても高校生でしょ?」

 三十のちょいオジさん(?)がパルフェにメロンソーダってのにもツッコミたいところだったが、私も将来同じようなことしてそうだと思ったので止めておく。
 そして改めてマサカズ君の身なりをもう一度確認してみる。
 身長…は、165あるかないかってところかな?
私が日本の女性の平均より、ほんの少しほんのすこーし大きいので(自称ギリ160台!)小さく見えたけどそれほど変わらないのかも。
 んで学ラン(今はさすがに暑くて脱いでいる)、淡い黒色に銀色のボタン。
 最初は可愛いらしい顔つきと、小柄で華奢な感じだったので中学生かと思ったけど。銀ボタンの学ランは近くの工業高校の制服だとすぐ分かった。
 ここって女子の制服もかなり特徴的で可愛いんだよなー。

「はい、えっと肉体自体は高校生の頃のを

来ましたからね。それと年が近い方が話もしやすいだろう思いましたので。てか、くみこさん制服マニアですか?やけに詳しいですね」

 いやマニアとかじゃないし!
 たまたま知ってただけだし!
 一応否定しとく。
 一応ね?
 まあとりあえず謎は一個解けたから良しとして、もうひとつの謎。

「それでさ、マサカズ君は何しにここにきたのかな?」
「えっと…」

 マサカズ君は少し悩む仕草をしてカバンをガサゴソあさり始めた。

これですね、薬です」

 薬。

「お薬の時間です」

 お薬。
 まあちょうど食後だしね。
 それ苦いやつ?
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登場人物紹介

クミコ。

主人公。

高校生。

マサカズ。

未来人。

エンジニア。

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