4 〝文明の循環〟が分かれば、DXが分かる!

文字数 1,322文字





(1)文明の循環(サイクル)

〝文明の構造〟が生み出す〝文明の循環(サイクル)〟すなわち、
技術→社会→政策→技術……の発展による
文明活動の螺旋上昇的な循環(スパイラル・アップ・サイクル)が分かると、
我国のDX(デジタル改革)政策の意味が分かります。

技術が進むと、社会活動は拡大・複雑化するので、
社会的利害を調整するための政策が必要となりますが、
その政策を助ける社会工学的技術もあります。
また、ある技術水準で社会的利害調整を極めると、
その限界を越える新技術導入政策も求められますが、
これは技術を助ける技術的政策といえます。

広い意味では技術と政策も社会活動の一部なので、
技術が社会と政策を助け、
政策が社会と技術を助けることで、
あたかも三極モーターかロータリーエンジンのように
文明発展の循環(サイクル)が回っていくのです。

英国は産業革命、米国は情報革命により、
経済・社会活動だけでなく制度・政策まで
変えるような工業化や情報化を達成して、
新たな発展の循環(サイクル)をもたらし、
文明段階を進めて世界を先導(リード)しました。


(2)Society(ソサエティー)5.0実現のためのDX(デジトラ)政策

我国のDX(デジタル改革(トランスフォーメーション))政策もまた、
以上のような文明の循環(サイクル)を前提に、
これまでは不十分だった情報社会の完成と
次なるAI社会の建設により、
新たな文明段階への飛躍を図る政策であると
説明できます。

同政策にはAI社会や画期技術という
表現はありませんが、関連動画では
情報化の完成と共にSociety5.0を
めざすと解説しています。

またSociety5.0であげられた諸技術は、
いずれもAIを前提としているか、
AIにより飛躍的に向上するものなので、
Society5.0はAI社会だと考えます。

Society5.0政策が、AIを中心とした
次世代技術の健全な開発・普及のための
技術的政策であるなら、
DX政策は、政府から率先して
それを進めていくための、
行政管理政策といえると思います。


(3)画期技術としてのAI

しかし、電算技術とAIは
一体どう違うのでしょうか?
動力機関と電算のような
違いがあるのでしょうか?

従来の電算機(コンピュータ)は、
『こういう時はこうする』というように、
指示された情報処理を行うものでした。
しかしAIすなわち、
自動最適化型の演算指示(プログラム)を使うと、
試行錯誤による機械学習を行って、
膨大な情報から法則性を発見・活用し、
『どうすればいいか』まで〝考え〟られます。

また、AIを可能としたのは
脳神経状回路網(ニューラルネットワーク)であるといわれます。
しかし現代のノイマン型電算機(コンピュータ)においては、
物理的に回線をつなぎ変えることなく、
演算指示(プログラム)により電気信号の経路を制御して、
様々な機能を発揮させています。
そのためAIの本体は電算機(コンピュータ)というより、
演算指示(プログラム)であるといえましょう。

そしてAIは、無数の組合せから新素材を発見し、
小規模電力を広域に安定集配し、
知能(インテリジェント)ロボットに人間の仕事を代行させ、
企業や政府の投資と配分、支援と規制を最適化し、
複雑な生体分子や知的活動を解析して
医療や教育に役立てる……など、多機能です。
すなわち、他の様々な技術の生産性を高めて、
文明活動の飛躍的発展を可能にするのです。

ゆえにAIは、全く新たな分野を(ひら)く新規性と、
多くの他技術を助ける多能性を備え、
文明発展の段階を分けるような、
次世代の〝画期技術〟といえましょう。
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