対峙する二人

文字数 592文字

その戦場に現れたのは一見なんのへんてつもない男だった。

その男は飄々とした態度であるものの風貌はさして目立った特徴もない。

よれよれのグレーの背広にネクタイをしているがかなり緩めているのはファッションなのか、ただだらしないだけなのか判断はつかない。

髪もボサボサなのか遊ばせているのか判然としないし口元も緩いのか不敵なのかわからない。

背もだらしなく座ってるせいで高いのか低いのかわからず顔も見ようによっては角度によってはイケメンだが違う角度でみるとBメンと言わそうである。

目は片方が二重で片方が一重でこれもどっちつかず……。

しかしその眼孔の奥にある光はただ者ではない強靭な何かを秘めていた。

「10秒…」

誰かが言った。

その男の前で対峙しているのは自信に満ち溢れたイケメンである。

イケメンであると同時にマッチョであることが背広を着ているにも関わらずあふれでていた。

そして背広はたぶん相当な有名ブランドのオーダーメイドに違いないものだ。

なぜなら彼の体の形に沿って自然で優雅なフォルムを余すところなく魅せている。

綺麗な逆三角形のフォルムだ、こんな背広が普通に置いてあるわけがない。

唯一の共通点といえば同じ黒髪が東洋系である事を感じさせるが昔の日本でいえばハーフと言われたであろう。

しかし、今ではこの様な特徴を持つ人をハーフとよぶひとはいない。

人々は彼、いや彼等の事をパーフェクト・ヒューマンと呼ぶ。
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