❀花火大会当日❀

文字数 752文字

此原(このはら)寧音(ねお)
「はい」
「東雲奏汰」
「はーい」
 そういえば,メアリとの学生体験の中で朝の出欠確認とかはやったことがないな。呼ぶ名前が二人しかいないけどやってみるのも面白いかもしれない。
 そんなことを考えているうちに朝礼は終わっていた。
 朝礼が終わると教室にいるほとんどの生徒が今日の花火大会の話をしている。
 去年は花火大会なんて私には関係のない話だったが,今年はメアリの提案により関係のある話になったのか。
 「いつもの四人で行く約束したんだよね」「私は彼氏と行く約束したよ~」「俺はバイトがあるから行けねー。皆羨ましい」
 同級生たちは口々に花火大会当日の予定を話していたが,もし私が廃ビルでメアリとお祭り体験をすると言ったら皆は驚くのだろうか。いや,話の内容がどうとかよりも,普段人と話さないから会話に入っていくこと自体に驚かれるだろう。
 そんなことを考えながら「お祭りの体験なら浴衣とか着た方がいいのかな?…まぁいつも通りの制服で良いか」と独り言を呟いたとき,私の数少ない友人である津狩(つがり)杏奈(あんな)が話しかけてきた。
「寧音もお祭り行くの?良かったら一緒に行かない?」
「独り言聞こえてた⁉」
「うん。結構大きめに」
「大きめに…」
 気を付けないと。
「あー。杏奈ごめん。ちょっと先約入ってて…」
「そっかぁ。寧音がお祭り行こうとするなんて珍しいよね~さては寧音にも春が来たか!」
「そんなんじゃないよ。不思議な縁で出来た友達でさ。あ,もしまだ誰とも約束してないなら今日の放課後に会ってみない?あの子あんまり私以外の人と関わる機会がないから喜ぶと思う」
 前々から考えていたしちょうどいいタイミングだ。三人でならより学生らしいことも出来るかもしれない。杏奈は真面目だから,廃ビルで遊んでるなんて言ったら怒られるかもしれないけれど…
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