おじさんリヤカー

文字数 647文字

浜へと続く小さな道がありました。道の左側はキビ畑。右側はギンネム生い茂る場所。ですのでここは沖縄本島の何処かなのでした。

浜へと続く小さな道を下ってゆくのはリヤカー。リヤカーを引いているのは小さなおじさん。

時々ものすごい勢いでクルマがおじさんリヤカーのすぐ側を走って行きます。観光レンタルなクルマだったり、地元若者のクルマだったりしますが、まったく同じようにおじさんリヤカーが存在しないかのごとく埃撒き散らし減速しないばかりか加速して通り過ぎて行きます。持続可能な地獄の如き情けない様相でありました。ゴールデンウィーク期間中だとかなんとかな世界でありました。

我々は何かしら自粛していたかしら?ほんとうに自粛しなきゃいけないのは何なのかしら?

それは誰の声でもありません。おじさんリヤカーの錆びた車輪軸が立てる音が、おじさんにはそのように聞こえているとのことでした。

おじさんはリヤカーに何を載せているのかしら?

2,000字に決まってるだろ。わんがリヤカーに載せているのは2,000字なわけさあ。

重くないかしら?2,000字そのものより、2,000字以内っていう縛りが重くないかしら?

あり、重いさ。よく言ってくれたねリヤカーさん。

ちょうどその時、何者にも縛られていない自由馬が通り掛かったのでした。

あり、自由馬さん、お腹空いてるでしょ。2,000字あげるから食べなさい。

ありがたヒッひんと自由馬は2,000字を食べました。

うりひゃでえじ軽くなったさあ。おじさんはリヤカーを引いて浜へと駆けだしたのです。







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