第1話
文字数 440文字
8月、太陽が私にこう言った。
「ねえ、あなたはどこに向かっているの」
汗だくになり皮膚を真っ赤にしながら私は歩いていた。
「どこって、とにかく遠くへだよ」
「どうして遠くへ行きたいのよ。あまり私の光にあたっていると死んでしまうわ」
「それでいいんだ。社会から、この世界から遠く離れた場所へ行きたいのさ」
太陽は困り果てた。
「どうしてそんなことを言うの、死ぬなんてだめよ。そっちへ行くと民家も川もないわ」
太陽の心配をよそに私は歩き続けた。人の住まない林へ入り、草木が私を止めようとするがそれでも進み続けた。
しばらくすると太陽が沈み始めた。そして月が顔を見せた。
「おい、何をしているんだい」
月が言った。
「遠くへ向かっているのさ」
「君は死にたいのかい」
「ああそうだよ」
「そうか」
月は深い光で私を照らした。
私は歩き続けた。
そしてついに私の死に場所を見つけた。
「ここにしよう」
私はロープを取り出し木に括り付けた。
「もういっちゃうのかい」
「うん」
「そうかい」
月はそれ以上話さなかった。
「ねえ、あなたはどこに向かっているの」
汗だくになり皮膚を真っ赤にしながら私は歩いていた。
「どこって、とにかく遠くへだよ」
「どうして遠くへ行きたいのよ。あまり私の光にあたっていると死んでしまうわ」
「それでいいんだ。社会から、この世界から遠く離れた場所へ行きたいのさ」
太陽は困り果てた。
「どうしてそんなことを言うの、死ぬなんてだめよ。そっちへ行くと民家も川もないわ」
太陽の心配をよそに私は歩き続けた。人の住まない林へ入り、草木が私を止めようとするがそれでも進み続けた。
しばらくすると太陽が沈み始めた。そして月が顔を見せた。
「おい、何をしているんだい」
月が言った。
「遠くへ向かっているのさ」
「君は死にたいのかい」
「ああそうだよ」
「そうか」
月は深い光で私を照らした。
私は歩き続けた。
そしてついに私の死に場所を見つけた。
「ここにしよう」
私はロープを取り出し木に括り付けた。
「もういっちゃうのかい」
「うん」
「そうかい」
月はそれ以上話さなかった。