第1話
文字数 512文字
大人気の俳優がいた。
出る舞台、映画、ドラマいずれも大ヒット。演技、ルックス、なにをとっても輝いているので、毎日カメラに追い回されない日はなかった。
栄光も人気も山のような財産も手にしたけれど、彼は満たされなかった。年にあるかないかの休暇を使い、バカンスに出かけてもファンやマスコミは彼を追い回し、世界のどこに行っても彼の安らぐ居場所はなかった。
この世のどこにも自分の落ち着ける場所はないのだろうか。
そう嘆いていたところ、とある人物が彼の前にあらわれた。
「あなたをユートピアにお連れします。誰にも邪魔されない、誰の手も届かない。心満たされる、自由な場所へ」
「本当にそんなところがあるのかい? ならばすぐにでも連れて行ってほしいね」
苦笑いする彼にナゾの人物はうなずく。
「ございますとも。すぐそこにあるじゃありませんか。ほら、ごらんなさい」
青白い手が、案内をするように空中にかざされた。
こうして彼は星座になったのだけれど、鈍感な人々は誰もそのことに気がつかない。
けれども、よく目をこらして夜空をながめれば、きらめきながら軽やかにステップを踏む彼の姿が、君にもよく見えるはずだ。
彼はいつでも輝いているのだから。
出る舞台、映画、ドラマいずれも大ヒット。演技、ルックス、なにをとっても輝いているので、毎日カメラに追い回されない日はなかった。
栄光も人気も山のような財産も手にしたけれど、彼は満たされなかった。年にあるかないかの休暇を使い、バカンスに出かけてもファンやマスコミは彼を追い回し、世界のどこに行っても彼の安らぐ居場所はなかった。
この世のどこにも自分の落ち着ける場所はないのだろうか。
そう嘆いていたところ、とある人物が彼の前にあらわれた。
「あなたをユートピアにお連れします。誰にも邪魔されない、誰の手も届かない。心満たされる、自由な場所へ」
「本当にそんなところがあるのかい? ならばすぐにでも連れて行ってほしいね」
苦笑いする彼にナゾの人物はうなずく。
「ございますとも。すぐそこにあるじゃありませんか。ほら、ごらんなさい」
青白い手が、案内をするように空中にかざされた。
こうして彼は星座になったのだけれど、鈍感な人々は誰もそのことに気がつかない。
けれども、よく目をこらして夜空をながめれば、きらめきながら軽やかにステップを踏む彼の姿が、君にもよく見えるはずだ。
彼はいつでも輝いているのだから。