ざわめきのこと

文字数 386文字

思考を言葉に変える時、いつも雑味を濾している。
茶葉みたいに、しっかりと熱いお湯でいきてた感情を取り戻してから、茶漉しで不純物を取り除いて、
純度の高い飲み物を丁寧につくり出すんだ。
相手に飲んでもらえるように、砂糖だってミルクだって足す。
でも、言うのを戸惑ってしまう時があって、そうしたら渋味が出てきてしまって、
でも出さずにいられないから、
とりあえず濾して、甘さやまろやかさで誤魔化して相手に渡した時、
罪責がわたしのからだを覆っている。
重たい。にがい。
残った茶葉が、ゆっくりとまた湿度を生みだしていく。
いつからだろう。
あなたは味が悪くても受け入れてくれる。
そう信じてしまったから、飲んで、って言う口を噤むことができない。
カップを渡す手を止められない。
もうやめたらいいのに、延々と広がる言葉を摘んで、それをずっとずっと煎り続けている。
はやく飲んでほしいって、願ってしまっている。
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