割り算の考え方

文字数 1,177文字

「ああ~。算数のテスト20点」
「おい。どうした、しょぼくれて」
「あっ、パコ先輩。テストの点が悪くて、もうやってられないすよ」
「テストの点が悪いくらいなんだ。気にするな」
「ダメですよ。テストの点でこずかいが決まるんですから」
「せこい親だな。それで、なんのテストだったんだ」
「算数です」
「算数かぁ、みんな苦手にしてるけど、俺は好きだな」
「ええぇ。パコ先輩、マジすか?」
「なんだよ、その驚き方。バカにすんじゃねえよ」
「算数なんて、足し算と引き算ができりゃいいでしょ」
「お前の言う通り、電卓もあるから算数なんて必要ないかもしれない。だけど、分かるようになるとこれほど面白いものはない」
「マジっすか?じゃあ、このテスト見てくださいよ」
「どれ。はは~ん、割り算か。掛け算の九九を覚えた後の割り算はきついよな」
「そうなんですよ。っていうか、九九もよく覚えてないんですけど」
「だけど、算数の中で割り算が一番面白いし、使い道があるんだぜ」
「嘘だぁ」
「じゃあ聞くけど、俺たち2人が歩いてたら、前から4人組が現れ、ケンカをふっかけてきた。1人で何人を相手にしなければいけない?」
「そんなの2人ですよ」
「ほら、割り算できてるじゃないか」
「それは、こんなの簡単だからですよ」
「それじゃ、もう一つ聞くぞ。ここに600グラムの肉がある。5人で分けると1人は何グラムだ?」
「120グラムです。これもそれほど・・・あれ、割り算できるかも」
「だろ。難しく考えることないんだって」
「そうなのかな?」
「ようするに、1人分はいくらになるかを計算するのが割り算だと思えばいいんだよ」
「ええぇ、でもちょっと待ってくださいよ。この問題」
「どれだ」
「アメが12個あります。1人3個ずつ分けると何人に配れますか?」
「なるほど」
「ねぇ、1人3個って分かってるじゃないですか」
「これはな、こう考えればいいんだよ。1人3個のアメにABCと名前をつける」
「ABCと名前のついたアメ」
「そう、それで12個のアメのうちAの名前がつくアメは何個できる?」
「ええっと、4個」
「ということは、4人にABCのアメが配れるということだ」
「おおぉ」
「ただし、アメが13個の場合、Aの名前のつくアメは5個かもしれない。だけどBとCがないから4人に配って1個余る」
「へぇ、Aだけを考えれば答えがでるのか」
「じゃあ、これは。30個の饅頭がある。饅頭が5個入る箱は何箱必要か?」
「6箱」
「なっ、すぐ分かるだろ。これも5個にABCDEと名前をつけてAの名前がつく饅頭を計算すれば箱の数が分かる」
「パコ先輩、これなら知らずに割り算を使ってるかもしれませんね」
「そうなんだよ。どうだ、だんだん面白くなってきただろ」
「は、はい。ありがとうございますパコ先輩」
「おお、前から8人組が歩いてきた。1人で何人相手にする?」
「パコ先輩、逃げましょ」
終わり
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登場人物紹介

後輩ペコ

先輩パコ

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