プロット

文字数 1,440文字



長きに渡る猛勉強生活で一流の景徳大学に合格した葉山猛(はやま・たける)は、子どもが苦手であるにも関わらず、幼馴染の丸山かりんの実家が経営する「丸山塾」で働くことになってしまう。
かりん「景徳大学に合格するの待ってたんだから!」
「丸山塾」は猛が子供のころから経営が傾き続けているボロボロの塾だが、地域に根差し、格安の授業料で多くの子どもを教えていた。しかしそこには家庭環境に問題のある子や、裕福でない家の子もいる。




丸山塾には学年も学校もバラバラの子どもたちが集まり、授業でも大部屋いっぱいの子どもたち一人一人に違う内容を教えなければならなかった。そんな環境に最初は戸惑いながらも、徐々に慣れて自らの勉強・受験のテクニックを子どもたちに教えていき、子どもたちと心を通わせていく。
「なんでゴールデンウイークで全部記憶飛ばして帰ってくるんだよ! 中間テスト前だぞ!」
「本を読む習慣は今からつけとけ。日本語の表現を知っておけば、国語の問題でも作文でも何でも書くことを思いつける。本を読む効果っていうのはそういうことだ」
「受けに来ている中にも実際に学力のレベルがたどり着けていないやつもいるんだ。自分の実力が確実に志望校のレベルに達せていたら、倍率的にも受かる確率は一気に上がる」
次第に猛は勉強以外も子どもたちの勉強以外の相談にも乗り始める。
いじめられている子へ「先生にチクるなっていうのは本来一緒に悪いことをしているやつが言うことだ。君自身が被害者ならいくら訴えたって良い」
夢のない子へ「とりあえず自分が何をすることが好きか、そういう感情をとっかかりにするのがいいんじゃないかな」




塾ではみんなのお姉さん的存在だが、高校では、3年生であるにも関わらず少しやんちゃなグループとつるんで不登校ぎみの高木咲は写真の専門学校への進学を望んでいた。
咲「世界を撮ってみたい」
しかし大学に行かせたい両親と喧嘩し、家出して行方不明となった。咲本人は小中学生の子どもたちの協力を得て探し出すことができたが、家には帰ろうとせず、塾で暮らすようになる。
自分の進路をどうすべきか、猛は当然のように大学を勧める。そんな二人を見ていたかりんの父親は、咲の行きたい専門学校が主催する大会に行く。そこで輝く専門学生や、それとは対照的に自分の周りにいる不真面目な大学生を見て、猛は気付く。
「どの学校に行くかよりも、行った場所で何を得られるかが大事」
「人生では常に、自分がどれだけ本気でやりたいか、自分にとってどれだけ重要かを秤にかけたうえで、選択をしなければならない」
猛は大学では歴史を学んでいた。学びを深める内に、世界を見てみたいと言う咲に共感を覚える。
「先に技術を学ぶのも良いが、大学に行って、世界について学ぶのも良いと思う」
「いきなり世界に飛び出して世界を学ぶか、学んでから飛び出すか選ぶんだ」
咲に問いを投げかける猛。




結局咲は、大学受験をすることを選択し、やっと受験勉強に本腰を入れ始める。しかし第一志望には落ちてしまう。滑り止めの大学に行くか、浪人するか選択する必要。
悲嘆する咲と猛。しかしかりんの父親は滑り止めの大学でも、その第一志望の教授が講義に来ていることを告げる。
かりん父「それに浪人になったとしても、自分の人生について考えられる時間ができるだけだ。ここで変わらず学べば良い」
咲は滑り止めの大学に行くことを選択する。
自分の現状をいかにプラスに変換して捉え、未来を描くか。それがポジティブ思考ということだ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み