はじめに突っ込ませて(プールの要望)

文字数 3,297文字

【???】
「開始早々悪いけどさ、突っ込んでいい?」
【???】
「まず名乗れ」
【???】
「え?    何を?    どこに?    ////」
【プール】
「僕はプール。宇宙人です。

これでいい?    突っ込んでいい?」
【ミトリ】
「雑だな。俺はミトリ」
【赤福】
「オレは【】の中見てね

ねえ、だから何を?」
【プール】
「お前らの方が雑じゃねえか。
てかさ、なんで僕だけアナログなの?」
【ミトリ】
「教えてやろうか?」
【赤福】
「ねえねe――」
【プール】
「勿体振るなよぉ」
【ミトリ】
「お前がグロいからだよ。もっぺん鏡見てきな」
【プール】
「か、鏡?    僕の姿って……」
【グロプール】
「ぐっろ!
なんで頭剥き出しなの!    なんで首に……ええ!?
なにあれ!!??」
【ミトリ】
「お前なぁ……。自分の種族忘れたのかよ。
お前は寄生人だろうが」
【グロプール】
「なんつうグロさだよ!
おい!
責任者だせや、おらぁ!」
【ミトリ】
「はい、責任者」
ミトリがわざとらしくギィィィと音を鳴らしながら開けた扉の先。

電気のついていない廊下であぐらをかきながらカップヌードル完成を待っていたのはネクラ怪人こと作者であった。
【ネクラ怪人】
「57秒、58秒、59秒、1分、1分1秒…………」
作者のスキル発動!
『地の文が多くなーる』
黙々と残り時間を数える作者からはズゥゥウウンという効果音が聞こえそうなほどのダークオーラが放たれている。

これが人見知りと寂しがりを拗らせた毎日地面を見つめる根暗のオーラなのかもしれない。
ミトリがプールに語りかける。
【ミトリ】
「ほら、出たよ。責任者」
【グロプール】
「おいこら。ネグラ怪人!

てめぇ、なに考えて……」
責任者を前にしたプールは怒りを抑えきれなくなったようだ。
最初の頃の真面目(?)な口調が跡形もない。
【ミトリ】
「ちょっと落ち着きなよ」
作者に詰め寄ろうとしたプールをミトリが抑える。
暴君プールでもさすがにチームメイトの言葉には耳を貸すようだ。
【プール】
「わ、わかりましたよ。落ち着きましょう。

スゥ、ハア……スゥ、ハア……」
ひとつ。
関係ないことが頭をよぎったのだが、プールのセリフから『スゥ、』を抜いてみようか。
【プール】
「わ、わかりましたよ。落ち着きましょう。

ハア……ハア……」
落ち着いていない。落ち着いていないぞ。

興奮してやがる……これが宇宙の獣なのか。
【プール】
「――って。何勝手に人のセリフで遊んでるんですか!」
いいじゃん。第一話じゃないんだし。

第0話の扱いだから、この話。
【プール】
「というか、話を逸らさないでください!

僕が何故アナログなのか!?    答えてください」
【ネクラ怪人】
「いや、私もアナログなんですが」
【プール】
「え、喋るの?    作者って喋るの?」
【ネクラ怪人】
「それ、端から見たらかなりひどい発言だよ。
てかね、ネクラ怪人だって喋るよ?    地の文は作者のテレパシー的ななにかだから」
【プール】
「それ俺なんですけど」
【ネクラ怪人】
「あ、ほんとだ」
【プール】
「気づいたんなら直せや」
【ネクラ怪人】
「ちょ、ごめんごめん。
もうふざけないから。

えーとプールがアナログな訳と姿の理由だっけ?」
【プール】
「ほんとのほんとですね?

はい、そうです。
言っておきますけど、誤魔化しなんかじゃ納得しませんからね」
【ネクラ怪人】
(こいつ、恋愛においてヤンデレ化するタイプだな)

「まずお前がアナログなのは、グロいからだ。
今はぼやけてるからいいが……。
想像してみろ。あんなグロい姿をデジタルにした時のグロさを……」
【プール】
「ふむ、作者もしっかり考えての判断だったのですね」
【ネクラ怪人】
(本当は面倒だからだけど黙っておこう)
【プール】
「では、二つ目のこの姿の理由については…………。ん?」
寄生人の姿について作者に問おうとしたプールの目(そういえばどこにあるのだろう)が、赤い影を捕らえた。
【プール】
「作者さん、なんか赤福が……」
【ネクラ怪人】
「ん?    どうした?」
プールの視線を追いかけて作者が首を捻るとそこには、カップヌードルを狙う赤福がいた。
【赤福】
「いっただーきます!」
【ネクラ怪人】
「赤福って言いづらいな」
【プール】
「それは僕も考えましたけど!
今はカップヌードルを守らないと!」
ズダッ

言うが早いか。飛び出したプールは背中にいる“本体”の足で赤福を拘束する。
【赤福】
「ぐうう……なぜ邪魔をする!」
【ネクラ怪人】
「そうだ!    なぜ助けた!
いや、有り難いんだけども!」
【プール】
「だって。あなたはしっかり考えてくれていた!
そんな人のカップヌードルの危機に黙っていられるでしょうか!?」
【ネクラ怪人】
「………………」

(考えてないんだけども!考えてないんだけども!)
【プール】
「そんな謙遜されなくていいですよ。あなたは素晴らしい人です」
【プール】
「さあ!    今のうちにカップヌードルを!」
【赤福】
「ぐうおおお。放せええ!!」
【ネクラ怪人】
(うぐ。今になって罪悪感が……。
どうする?    いっそ正直に)
私は考えていた。

プールと赤福の横を通りすぎる間も、カップヌードルのふたに手をかけた瞬間も、今こうしてカップヌードルの上に割り箸を置いた時も考え、そして……。

決断した。
【ネクラ怪人】
(正直に話そう)
彼は決意した。

正直にプールに話そう、と。

しかし、この世界の神は非常に短期であった。
それこそたった一つの過ちにすら鉄槌を下すほどに。
【ネクラ怪人】
「なあ、プール」
【プール】
「なんでしょう?」
作者が発した言葉はしかしプールの耳には届かなかった。

プールの耳に届いたのは無慈悲な神が寄越した躊躇のない使者(バカ)の暴露だったのである。
【ミトリ】
「さっきさあ、『心の声がきこえーる』って録音機拾ったんで作者に使ったらさあ。とんでもねえのな」
【プール】
「え?」
【ネクラ怪人】
「あ」
作者の制止も聞かず、ミトリは録音を再生する。
ピー、ガコン。

まじかー。やべーな。プールの奴、信じちまってるよ。
録音機から流れてきたのは、紛れもない作者当人の声である。

違うことといえば、やはり実際の会話ではなく作者の本音が録音されていることだ。
あいつだけアナログな訳って本当はただ、他のメンバーより細かくて面倒なだけなんだけどなー。

(細かいと時間かかるしー?)
【プール】
「…………………………………………………………………………」
プールの三点リコーダーは横一列きれいに並んでいる。

やってしまった感が凄まじいのは気のせいではないだろう。
いやさ。ほんと悪いとは思ってるよ?
でも、指が痛いんだよねー。ア○ビスだからさー。指が擦れて擦れて。
【ネクラ怪人】
「え、あ、いや……、あの」
作者が弁解しようにも。既にどうにかできる段階ではなかった。
えーと、寄生人の姿の理由?    そんなの思いつきに決まってるじゃない。
なんかこう頭脳派描こうとしたんよ?    そしたらなんか頭脳飛び出ちゃって。

寄生人てのは後で思いついたんよ。
とんでもない暴露パレードである。

観衆からはゴミ、空き缶、腐った卵を投げられるであろうひどさである。

「頭脳が飛び出ちゃって」などとつまらないことを言う前にこの状況を事前に防げなかったのか。
バカな作者である。
【プール】
(ニコニコ)
【ネクラ怪人】
「ええーと?    プール……さん?」
プールはニコニコしたまま赤福の拘束を解いた。

(なぜニコニコしているとわかるのだろうか)
【赤福】
「うおおおおお」
【ネクラ怪人】
「や、やめ……!」
赤福の雄叫びに続いた作者の悲鳴。

想像は君たちに任せよう。

ただ一言ヒントを述べるならば、『カップヌードルの危機』だろうか。
恐らく第一話からのプールは姿が変わっているだろうが、笑顔で迎えてやってほしい。


(第0話を通してプールのグロさが思ったより酷かったので姿チェンジします)
【ミトリ】
「俺と赤福の全体図は第一話で見せると思うから見てくれよな」
【赤福】
「そもそもここまで読んでる読者様とかいるのか?」
【ミトリ】
「……………………」
【ミトリ】
「いないかもしれないけどさ。一応だよ。一応」

【ミトリ】
「次回も、よろしくな」
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登場人物紹介

【ミトリ】

悩み(重力が邪魔で跳べない)

【赤福】

悩み(赤福食べたい)

【初期プール】
悩み(一人だけアナログ)

↑「大丈夫。俺もアナログだから」

【ネクラ怪人(作者)】
悩み(赤福食べてみたい)

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