迫る天井

文字数 408文字

生まれてから物心がつき、一人の大人として自立をするまで世話になる家。その家が自分に襲い掛かる経験をしたことがあるだろうか。なにもタンスに足の小指をぶつけたとか階段から落ちたとかの話ではない。俺が経験したことはこうだ、

”天井が迫ってくる”

何を言われているか正直わからないだろうが、こうとしか表現のしようがないのだ。まるで天井が、家が意思を持つように、人の顔に見えるようなシミが近づいてくるのだ。まだ小学生だった俺にはあまりに怖すぎた。布団で足先まで包み込みひたすらに夜が明けるのを待った。声にならない声を出し、必死に堪えた。子供にとって睡眠は大事であるから寝なければならないのだがどうしても寝れなかった。

後日、俺は学校の保健室に行き、養護教諭に相談をした。教諭は「成長期によくあることなんじゃないかな」と明言を避けた感じだった。

結局のところ、原因はよく分からず仕舞いだったが今でもその恐怖は鮮明に脳裏に焼き付いている。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み