鶴亀算の使用法

文字数 1,577文字

「パコ先輩、鶴と亀が混ざってるんです」
「ああ、鶴亀算か」
「これって計算しなくても、どちらが何匹か見れば分かりますよね?」
「そうさ。はっきり区別できるもので説明するから混乱するんだよ。学校はこんなインチキな問題で、算数嫌いを作ってる」
「なんでそんなことを?」
「学校は、教育する能力も教育する気もない。国民をバカのままにしておくほうが政治がやりやすいからな」
「そっか」
「ところが、その政治をする政治家や役人もバカになってる」
「皮肉な話ですね。でもこんな計算なんかの役に立つんですか?」
「まず、鶴と亀はいっさい忘れることだ」
「はい」
「鶴亀算は、こんな問題の時に利用する」
「・・・」
「饅頭が262個ある。その饅頭を12個入りの箱と5個入りの箱に入れたい」
「・・・」
「箱は全部で30箱にしたい。箱を作るのも配達するのも金がいるからな」
「なるほど」
「饅頭の余りをできるだけ少なくするには、それぞれの箱をいくつ用意すればいいか?ただし、この問題では余りはでないようにしている」
「この問題なら実際にありそうですね」
「そうだろ。こういう問題を簡単に解くのに鶴亀算を使うんだ」
「へぇぇ」
「この問題で分かっているのは、饅頭が262個と箱は全部で30箱」
「はい」
「それと、12個入りの箱と5個入りの箱があるということ」
「はい。それだけで分かるんですか?」
「これに1つ重要な数がいる。それは、12個入りの箱と5個入りの箱の入れられる数の差だ」
「それは、12個入りの箱のほうが7個余分に入れられるということですか?」
「そうだ。その7個が重要な数なんだ」
「それで」
「どちらの箱でもいいけど、12個入りの箱が何箱になるか出してみようか」
「はい」
「それには、5個入りの箱に入れる饅頭の数が邪魔だよな」
「はい」
「この5個入りの箱に入れる饅頭の数を消す」
「消せるんですか?」
「消せるよ。それには、30箱全部を5個入りの箱として饅頭の数を計算する」
「30×5で150個です」
「そうだな。饅頭は全部で262個だから150個だと饅頭は余るよな」
「262-150で112個余ります」
「そうだ。その112個は、12個入りの箱に入れられる饅頭の数だ」
「12個入りの箱に入れられる饅頭の数?どういうことですか?」
「12個入りの箱に入れる饅頭全部じゃないっていうことだ」
「・・・」
「12個入りの箱にはまだ、112個の饅頭を入れられる余裕があるんだ」
「なるほど」
「だから、この112個を12個入りの箱に分けるために、12個入りの箱のほうが7個余分に入れられるという7個が重要になってくるんだ」
「へぇぇ」
「112÷7は?」
「えぇっと、16」
「そう、それが12個入りの箱の数16箱だ」
「それじゃ、5個入りの箱は、30-16で、14箱?」
「そうだ。だけど、念のために5個入りの箱も計算して調べてみようか」
「それじゃ、僕がやってみます」
「よし、やってみろ」
「5個入りの箱の数を調べるには、12個入りの箱に入れる饅頭が邪魔だから、30箱全部を12個入りの箱として饅頭の数を計算する」
「そうだ」
「30×12で360個」
「そうだな。饅頭は全部で262個だから360個だと饅頭が足りないな。いくつ足りない?」
「360-262で98個足りません」
「それだけ足りないな。でもその98個は、5個入りの箱の饅頭の数なんだ」
「どういうことですか?」
「12個入りの箱は消えたから入れられないとでも思ってくれ」
「・・・」
「とりあえずそこから先は、12個入りの箱の時と同じ計算をしてみてくれ」
「はい。じゃあ、98個を5個入りの箱に分けるために、12個入りの箱のほうが7個余分に入れられるという7個で割ればいいんですね」
「そうだ。割ってみろ」
「はい。98÷7は14」
「どうだ。5個入りの箱は14箱」
「ほんとだ!!」
「これが鶴亀算の極意だ」
終わり
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登場人物紹介

後輩ペコ

先輩パコ

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