第1話

文字数 1,683文字

ここは天楼重工付近の埠頭いつも通りの風景。少し違うところといえば
不思議な釣り人が1名いることだ。
彼の名前はサブロウタ ♧Ⅲをしている異能者である。
「あー・・全然釣れない・・このままだったらボウズ確定なんだよなぁ・・はぁ・・・」
そういうと彼は再度釣り竿を振り海へと放った。

チャポンという音とともに波紋が発生し浮きが水面に写されている。

「あー・・ビール飲みたい・・勤務中じゃなかったら飲むのになぁ・・・」
彼はそういうと、ぷかぷかとしている浮きを眺めている。
すると後ろから足音がする。
「こんなところで何をしているんですか?」
サブロウタへ誰かが問いかける。
「ん?・・・見ての通り釣りだよ?えーーっと・・君は・・ちょっとまって思い出す。」
そういうとサブロウタへ声をかけた人は少し不思議な顔をする。
「あなたの異能は、熟知のはずなんで忘れることは、まずないのでは?」
彼はそう言い放つ。
そう、サブロウタの異能は熟知 一度行ったこと、見たこと、聞いたこと、などを
忘れることがない異能なのである。
「ん?あぁ・・そこは何だ、えーっと・・ちょっとまって今引いた!」
そういうと彼は竿に手をかけ思いっきり引き上げた・・・
「・・・・・餌だけもってかれたよ・・がっくりだわ・・・・それでロアくんだっけ?
 その質問の答えは簡単だよこの竿が異能キャンセラーになってるから、ただそれだけ」
そう答えを聞くとなおのこと彼は不思議そうな顔をする。
「異能キャンセラー?・・そこに意味はあるんですか?」
再度彼は問う
「ん?まぁそうだね 熟知を使えば、もうジャンジャンバリバリ釣れちゃうよ。
 そりゃぁもう大漁旗用意してもらわないといけないくらいにね。
 お店も始めちゃえそうな勢いだよ!オッタマゲ!と言わないばかりに。
 けどね」
サブロウタが饒舌になりだすと「ロア」も少し気になりだしたようだ一言口を開いた
「けど?」
その言葉を聞いたサブロウタは表情こそ見えないものの何か楽しそうではある。
「けど!熟知を使ったら面白くない。そりゃぁ便利だよ?間違いなく便利だ!
 でもそれで釣りをしたら意味がない。自分で考え、試行錯誤して釣りをしてるわけだ
 だからといって便利なものに頼りすぎるのはいかがなものかとね。
 ロア君が自分の異能に対してどう思っているかはわかんないけど 
僕は電子レンジと同等と思っているわけだよ」
そういうとロアはなおのこと不思議な顔をする
「電子レンジ?」
サブロウタはその言葉にこう返す
「そそ電子レンジ あれば便利だけど使わなくても生きていけるもの、それこと好き嫌い
 あるとは思うけど、僕たちにどうすることも出来ないわけだ、なら便利に使って
 ほどほどの距離感保っていたらいいんじゃない?キャンセラーもあるわけだし」
するとロアはサブロウタに言葉を返す

「そうですね…僕の異能は醜いのであまり出したくないんです、
それに刀があるのでコイツが僕にとっての電子レンジみたいなもんですかね」

彼がそういうとサブロウタの頭から音がする
prrrrprrrr
「ハイ、サブロウタです。・・・・えーっと埠頭で釣りしてるよ、・・・・
 あーハイハイ業務は間違いなく終わってるんで上手にさぼ・・・・えー・・」
サブロウタの上司、「皆石」からの電話だったらしく彼は釣り竿を片し始めた
「ロア君、まぁなんだ、醜いとかそういうのは私が言うものではないんだけどさ
あまり気にしなくていいと思うよ だってほら私、ここで手も足も出ねぇとか
いうみたいに手足なくなっちゃってるんだもの・・ちなみに笑うところだよココ
それと、キャンセラーが欲しいなら言ってくれれば作成するよ。
 言いづらいなら書面でもいいからね。あんまり長話してると皆石ちゃんに
 怒れちゃうから」
怒られるといいつつ彼は多少楽しそうである。
「また♠を輸送する時に会うかもしれないから、その時はよろしくー」
サブロウタはそういうと釣り竿を持って天楼重工へ戻っていった。
一人残されたロアは、何とも言えない顔をしてつぶやいた
「よくわからない人だな・・・けど悪そうな人じゃないか・・」
そういうとロアも散歩の続きを始めた。

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