第3話

文字数 537文字

 私の髪は、そこらの小学生に負けじ劣らず短い。ショートカットならぬ、短髪だ。時には切りすぎて、パステルで地肌を塗ったりもする。
 幼い頃は、マシュマロ頭だった私。母が、ざるを被せてまんまるに切ってくれていた。それは見事なマシュマロカットだった。頭には天使の輪と呼ばれた、わっかが光っていた。
 中学に入学するころ、ショートカットがはやり始めた。中学校の近くの美容院に、友人とともに、月一回通った。4,000円くらいだったと思う。金額は、今の4倍だ。ほとんどの吹奏楽部員女子が、その美容院に通っていた。
 ショートカット、これがまた、生活するには楽である。が故に、私の髪はどんどんどんどん短くなり、体育の先生に意図せずして怒られる始末。楽だから短くした、は中学校の先生には通用しなかったのだろう。
 高校、大学とショートカットを貫く。
 洗うのは楽であるが、朝になると、どかんと爆発、時々ニュースで目にする桜島の大噴火並だ。頭を洗いなおしたり、蒸しタオルを頭にかぶったり、朝から余計な手間はかかる。真冬の朝には、濡れた髪で登校すると、一部、髪の毛は凍っていた。冗談ではない。
 そんな爆発した頭をみて、私の父は
「頑張れニッポン、立ち上がれ」と、私のイライラをあおり、母の微笑みをかった。
 
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