第2話

文字数 7,176文字

 ノベルデイズでの投稿は、三ヶ月振りになります。もう更新することはないかなぁと思っていましたし、これで最後なのかなぁとも思っております。もっとも、それは書き手としての話でして、読者としてはノベルデイズには時々ログインして、お気に入り作家さまの新作を拝読したり、新たに好みの作品を探したりと、断続的にですが利用しておりましたし、これからもそうするつもりです。
 だからこそ、このサイトはいつまでも健全に盛り上がっていて欲しいなぁと思っていたのですが……この数週間(数ヶ月?)、やや不穏な動きを感じておりました。(まぁ、常にそういう問題はあると言えばそれまでですけど……)

 個人的には、アラシ行為とはまた別物という認識です。どちらかと言えば、ネット利用におけるマナーとリテラシーの問題なのかな、と考えています。いや、「ネット」という大枠ではなく、「このサイト」に限定した方がいいかもしれません。
 具体的には、少し前にコラボ小説で書かれていた方もいらっしゃいますが、ファンレターや活動報告の連投もそれに当てはまります。幸い、あの作品の効果なのでしょうか、最近は随分と落ち着いた印象です。
 しかし、私もかなり訝し気に見てはおりましたが、あれこそ「アラシ行為」というよりも、マナーとリテラシーの問題だと思っていました。となると、行ったユーザーだけを責めるのは間違いで、むしろ、それを指摘する雰囲気や規制するルールがないことの方が、ずっと大きな問題だと思っているのです。簡単に言えば、自浄能力の欠如ですね。
 
 しかし、そんなことよりももっと酷い行為は、星のセルフ供給ではないでしょうか?
 これの一番の問題は、証拠がないことです。つまり、疑わしいだけ。疑わしきは罰せず、というより、罰せられないのです。
 その前に、まずクリアにしておかないといけない前提条件があります。勘違いされている方がいるかもしれませんが、自分で自分に星を付ける行為は、それこそマナーとかプライドだけの問題であって、規約違反ではないのです。つまり、星のセルフ供給はやってもいいのです。

 数ヶ月前のことです。ものすごい勢いでセルフ供給をするユーザーがいました。どうやら他サイトにアップしている過去作を、ノベルデイズでも公開することにしたようで(本棚作りだそうです)、連日作品を投稿され、時には数十エピソードからなる作品もあり、それら全てに「いいね!」をご自分で押していた為、当時のランキングの上位表示の大半が、その方の作品で占有されることさえありました。
 そのことに痺れを切らしたあるユーザー様は、ファンレターを利用して、その作家さまに苦言を呈しました。しかし……その方はあっけらかんと自分で「いいね!」を押していることを認め、それの何がいけない? という主張でした。
 それまでの著しいマナー違反には閉口しておりましたが、問い詰められた際の邪気すらない開き直りには開いた口が塞がらす……口を閉じてるのか開いてるのか分からなくなりました。
 はい、小ネタを挟んでしまいました。失礼しました。
 閑話休題。
 そうなんです。それこそマナーやリテラシーはどうであれ、彼の行為は利用規約には何も抵触していないのです。むしろ、突撃したユーザーの方が(証明は出来ないにしろ)明らかに「捨てアカ」でしたので、そちらの方が問題になるのです。心象はどうであれ。

 どうして、そんなことになってしまうのでしょうか? 
 原因は明白です。つまり、ノベルデイズの利用規約が実情に追い付いていないからです。
 現在のノベルデイズでは、自分で自分をお気に入り登録することも、自作品をお気に入り登録することも、自作品へ「いいね!」を押すことも、自分宛にファンレターを出すことも、全て違反行為ではないのです。
 そして、自分で自分に供給した星も評価数にカウントされ、ランキングに反映されるのです。裏技とか不正ではなく、合法的にそれが許されているのです。

 このサイトは、(おそらく伝統的に)良識的でネットマナーを遵守する利用者が多く、そういった瑣末なことは規制するまでもなく、各自の判断で線を引き、秩序が守られてきたのでしょう。もちろん、中にはルールやマナーを破る人もいたでしょうが、ネット利用に長けたユーザーはスルースキルも熟成されており、わざわざ咎めたり指摘することもなく、ただ相手にせずに、勝手に消えていくまでやり過ごしていたのでしょう。
 しかし、そういう方が例外的な存在ではなくなりつつあるのです。いや、リテラシーやマナーの標準値そのものがズレてきたのかもしれません。いずれにせよ、もう何ヶ月も前に何らかの対応が必要だったのに(個人的にはそういった要望も出してきたのですが)、ずっと放置されてきたのです。要するに、運営や規約や仕様に大きな問題がある、と私は思っています。

 話を戻しますが、セルフ供給は合法だとして、では何が問題なのか? という話になりますが、リスクを承知の上ではっきり言いますと、明らかに複数のアカウントを所持してる人が野放しになっていることです。何故分かるの? という説明は省かせていただきます。どのみち、証明は不可能ですので。
 ただ、何故そう思うの? という説明は必要でしょうから、この後に少しずつ説明していこうと思います。

 ノベルデイズは、皆様もご存知の通り、メール認証だけで登録出来ます。つまり、メールアドレス一つで、アカウントが一つ持てます。
 逆に言えば、所持しているメールアドレスの数だけアカウントを取得出来るのです。もちろん、これは規約違反で、一人に付きアカウントは一つだけ、と利用規約に明記されているのですが、その気になれば誰でも何個でもアカウントを取得出来るのです。
 検証の為に、実際に私もやってみようと思いましたが、どんな理由であれ、複数のアカウントを所持することは禁止されているようですので、自重しました。でも、実際に複数のアカウントを所持していることを認めた人が過去にもいましたし、メール認証だけなのも変わっていないようですので、この点は間違いないと思います。

 ノベルデイズに限らず、複数アカウントの所持を完全に防ぐ方法はありませんが、SMS認証を採用しているサイトでは、複数アカウントの取得はかなり困難になります。
 ちなみに、SMS認証とは、ほとんどの方も経験があるとは思いますが、携帯電話のショートメッセージ機能を利用した認証のことです。具体的には、アカウントの取得に携帯電話の電話番号の入力が必須になり、その番号宛にショートメッセージサービス(SMS)で認証パスワードが送られて、アカウント取得の手続きが可能になるシステムのことです。
 なので、複数アカウントを取得するには、携帯電話も複数回線必要になるのです。そこまでして複アカを持とうとする人はかなり少ないでしょうから、SMS認証システムはこういったサイトにとっては、かなり有効な対策にはなるでしょう。

 一方で、SMS認証にはデメリットもあります。まず、もし今から取り入れるなら、サイトのシステムを大幅に変更する必要があることです。そして、こっちの方が大きいと思うのですが、もし採用すると、認証の度に運営側に通信費が掛かることです。事務作業も増えるでしょうし、その分、人件費等の運営費の負担も大きくなるかもしれません。
 ちなみに、ノベルデイズの長所の一つは、無料サービスなのに広告がないことではないでしょうか? しかし、SMS認証システムを採用すると、この基本方針の見直しが必要になるかもしれません。なので、これは提案や要望の意図は全くありません。
 ただ、客観的な事実として、メール認証だけで登録出来るシステムは、どれだけ規約で規制したところで、最終的にはユーザーの良心に委ねるしかなく、実質的にはザルになっているということは理解して欲しいのです。Gmailなんて、取得数に制限はありませんからね。

 話が逸れまくりで恐縮ですが、前述したように星のセルフ供給は違反ではなくても、それはアカウントが一つの場合に限った話です。しかし、複数のアカウントを所持し、それらを駆使して自作品に星を入れるとなると、これは大問題ではないでしょうか? 本題はこの話です。
 ノベルデイズの仕様では、一つの作品に一人のユーザーが投じられる星の数は上限があります。
 例えば、十話(十エピソード)からなる作品があるとします。その作品をお気に入り登録すると星が三つ、作者もお気に入りに登録する(若しくはしている)と星が一つ、各エピソードにも「いいね!」を押すと星が一つずつ供給されますので、最大十四個の星を投じることが出来るのです。これは、自作品への供給でも同じです。
 逆に言えば、(十話の作品の場合は)最大で十四個しか投じられないのです。でも、もう一つアカウントがあれば、更に十四個が可能になります。つまり、自分で自分に二十八個もの星を付けられるのです。言うまでもなく、三つ目のアカウントも取得すれば、また新たに十四個……と、アカウントの数だけ、セルフ供給の可能な星が増えていきます。
 つまり、そうしていると疑わしい人が何人かいるのです。もちろん、何度も言いますが、私には物理的な証明は不可能ですので、特定のユーザーを指摘したり批判することはしません。証拠は何もありません。
 一方で、私は統計学をある程度信用しています。理論や理屈は理解出来なくても、結果として現れる統計は嘘をつきません。そういった観点から、以前、PV数に対する評価数(星の数)の割合を徹底的に調べたことがあります。その時、ある程度の法則は見つけたのですが、後に複数のユーザー様からご指摘いただき、私の解釈に齟齬があることが判明しました。過去の星供給の条件や私の知らなかった仕様などがあったのです。

 その後、星の供給について大幅な変更が施されたと公式のアナウンスがありました。なので、私の調査もやり直すことになったのですが……結論を言いますと、残念ながら数式のような明確な理論や法則は見出せません。ただ、大まかな傾向は「統計」として現れております。
 つまり、PV数に対する評価数の割合(個人的にこれを『評価率』と呼んでいます)には、ある程度、これぐらいに落ち着くということが統計的に現れているのです。
 ただ、当然ながら標準偏差のバラつきは発生します。連載中か完結済みかの違いも影響しますし、エピソード数によっても変わってきます。公開を下書きに変えたエピソードがあるかもしれませんし、お気に入り登録者数にも大きく影響されますので、PV数が少ない時点でのデータは、全く当てはまりません。要するに、デフォルト数が人によって違うので、PVが少ないと正しい傾向が掴めないのです。
 しかし、PV数が増えるほど、統計はある数値の範囲内に収束していきます。数学的にもそうなります。

 私の中では、評価率がそこから著しくズレる場合、複数アカウントの所持を疑ってしまいます。何故なら、それ以外に説明が付かないからです。
 少し余談になりますが、数学的な話をいたしますと、各作品の評価率は、サイト内全作品のPV総数と評価総数の割合を期待値(厳密には確率論ではないので、平均値とする方が適していますね)としますと、どの作品もロングスパンで見るとそこへの収束へと向かうはずなのです。いや、もっと言うならば、人気のある作品ほど期待値をどんどんと下回っていくのです。(説明はここでは省かせていただきますが、知りたい方で直接私と連絡の取れる方は、ご連絡くださいませ)
 しかし、標準偏差の偏りが不自然なぐらいに著しく期待値から外れるケースが発生しますと、通常では起こり得ない現象と見做し、何らかの変数が絡んでいると考えることが出来るのです。平たく言えば「イカサマ」です。
 例を挙げますと、サイコロの期待値は3.5ですが、ある人のサイコロを百回振ったところ、出た目の平均値が4.5だった場合、何か原因(変数)があることは明白ですよね。
 もちろん、振った回数が少なかったり、若しくは平均値が期待値と近似していた場合は、普通に起こり得ることとして受け止められますが、百回振ってこれだけの差が付くと、偶然で処理出来ません。そして、概ねその場合は不正と見做されるでしょう。

 このサイトの話に戻ります。
 例えば、完結済みの作品は、完結した時点での評価率を、ある意味でその作品の基準値と捉えることにします。評価率は、その後は(例外もありますが)基本的には下がっていくだけです。リピーターの多い作品ほど、その傾向は強くなります。何故なら、読まれる度にPVは増えますが、星は一人一回しか供給出来ないからです。
 その大前提を覆し、完結後も毎日数個ずつ星が増え続けるなんてことは、まず起こり得ません。もちろん、理論上はあり得ることなので可能性は0ではないでしょうが。

 もっとも、完結済み作品なのに星が増えるケースもあります。私も過去に経験がありますが、一般的にはある時に一気にまとまって増えるのです。理由は言わずもがな、ですね。これは、普段から普通に起きていることなので、特筆すべきことはありません。
 しかし、完結済みの作品なのに、毎日毎日数個ずつ、コンスタントにじわじわと増え続けるなんてことはあり得ません。考えられるとすれば、ご本人が別アカを取り、毎日数エピソードずつ「いいね!」を押し、全部のエピソードにつけ終わるとまた別のアカウントを取り……と、このループを続けている可能性が高いのです。
 もちろん、たまたま新規の愛読者が都合良く出現して、絶妙なタイミングで次のご新規様へたまたまバトンして、それがたまたまずっと繰り返されている可能性も理論上はありえますが、なかなか確率的に起こり得ないでしょう。
 では、そんなことをする目的は何でしょうか?
 おそらくは、ずっとランキング上位に自作品を表示させたいからでしょう。既に本アカでのセルフ供給済みなら、複アカがないと自力ではそれ以上増やせないのです。また、ある時に一気にまとまって増えたケースだと、ランキングに載っている期間もその時だけで終わりますからね。継続的にランキングに載せておくには、継続的に星を供給し続ける必要があるのです。

 しかし、このやり方で星を供給すると、決定的な違和感が表出します。端的に言いますと、評価率が不自然な数値になるのです。
 余談ですが、星数(評価数)が多いと人気のある作品、若しくは良作だと勘違いする人が多いのですが、実はこれは間違いなのです。投稿したばかりの作品は別として、古い作品や完結済みの連載作品ほど、実際にはランキングなんて関係なく、PVが多くて評価率の低い作品が人気作品だと思っています。サイト内にある長期連載の人気作品を確認してみると、この傾向は明白になると思います。これまた理由は省きますが、少し考えれば分かると思います。
 あ、これに関しては、一つだけ、目安となる数字を出してみましょうか。あくまで目安ですけど、PVが十万を超えると、不正をしない限り、評価率が1%を超えることはまずあり得ません。むしろ、1%でも高過ぎるぐらいで、良い作品ほどこの割合は下がっていくのです。

 しかし、もし自分で複アカを使って星の供給を行うと、ランキング上では人気作品のように映るのに、PVは大して増えておらず、評価率は高くなっているのです。当たり前ですよね。実際には読まれていないのに、「いいね!」を押す為だけに自分でページを開いているのですから、その辺りの整合性は保てるわけないのです。
 もっと言うならば、不自然な星の増え方は、賢明なユーザー(ほとんどのユーザーがそうです)には不信感しか与えません。直感的に、或いは経験則から、容易に見抜かれているのです。なので、結果的に、そういった作品は誰からも見向きもされなくなっていくのです。皮肉なことに、目立たせようと不正を働き、目論見通り、目立つ所に表示されるようになった結果、見向きもされなくなるのです。
 これを読んで、では星だけでなくPVも自分で稼ごうと思う人が出てくるかもしれませんが……本作は『天体観測』というタイトルです。本当に怪しいと思っている作品については、かねてからPV数と「星の動き」をモニターしていますので、急に動きが変わると不正を認めるようなものですからね。

 しかし、こういった数値の算出には、PV数やエピソード数、お気に入り登録数など、媒介する条件や要素もあり、正確に信用出来る数値を提示することは困難でしょう。また、単なる目安だとしても、具体的な数値を公開するわけにはいきません。
 それでも、大凡の数値は私なりに(あくまで統計上ですが)把握しています。もっとも、そこに正誤や真偽は求めていませんので、あくまで私の中での目安ですが……繰り返しますが、私は、ある程度は「統計」を信用しているのです。

 本作は、不正行為への警笛に過ぎず、特定の人や作品を批判する意図は一切ございません。でも、たまたま私が思う不正の条件に当てはまっている方、若しくは、自分のことではないかと捉えてしまう方がいらっしゃれば、本当に申し訳ありません。心よりお詫び申し上げます。
 そんなすごい偶然も、決して起きないわけではありませんから、不正はしていないけどたまたまそうなっているだけだ! と主張されれば、私には物理的な反論材料なんて何もありませんから、「あぁそうなのね」と無条件に信用するしかありません。
 ホント、すごい偶然ではありますけどね。
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