形象化されたマドレーヌ、もしくは在りし日のステンドグラスに寄せて

文字数 590文字

おぉ、闇深き丑三つの刻(こく)
雷鳴響くシュメールの街灯に
予(かね)てより現れし 忘れ難きヨハネスクの啓示よ……

そうなのだ
五感に響き渡るカンパネラは
己の心を巣食う牢獄を いとも容易にサンクチュアリへと変えた!

されど 故(ゆえ)に もはや我々には
朧(おぼろ)げなシルエットすら知る由(よし)もない――


希望を纏った兄弟達よ 疑いを持つなかれ!
祝福しようではないか 奇跡とさえ思えるこの瞬間(とき)を!

さぁ 其方(そなた)がガーデンを開け放つ時
ティンパニーは意気揚々と語り
彼方のカーテンが閉ざされる度
ボヤージュは息を潜めるのだ

間も無く戯曲はカンバスを安息の地とし
パイプオルガンは月面に響き渡る……
クレーターの一つ一つに 知れず音もなく沁み入る様に!
やがてはフェミニスト達がボルドーワインの“コルク”に取って代わることだろう……
果たしてそれを そのニヒリズムを孕んだ顛末(てんまつ)を 何処の誰が渇望すると言うのだ?


リベラルな時代の潮流に
群衆は白馬を求め続ける――
真実はロバの耳にのみ集うというのに!

枯れ葉が幾重にも積もった石畳みには
ただ郷愁の念が闊歩するだけだ……
断じて足跡など残る筈(はず)もなく
ただ郷愁の念が闊歩する……

もはや朽ち果てた林檎の木々に実るのは
メランコリックな仮説のみとなった
――だがしかし、だ
もしも七色のブローチを握りしめているのが アーミッシュの姉妹達なのだとしたら?
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み