第1話 女は初めての激しい独占欲に‥‥
文字数 2,000文字
だが、状況が、彼女の倫理観が、彼との合流を許さなかった
そのことが男への執着、嫉妬を生じさせ、女はひとり葛藤し、苦しんでいた
すっかり元気をなくし、張り合いを失っていた
後悔しながら、身も心も焦がれ、飢渇していた
久しぶりに自身のSNSに新たなアカウントを創り女の投稿にコメントしてきた男がとても━━
その先を言葉にするのは女のプライドが許さなかった
彼女は彼が切れたのでメランコリックになっていたのだ
つまり、男は女にとって阿片だった
だが、自分がまったく男に返信もしてないので、男が寂しさを抱えて、そのように振る舞っているのは納得している
しかし、心は男のそんな自由な行動を断罪し、自分だけを見ていて欲しい、魂の奥底からそう願い・恋焦がれていた
それを許せないのは女の罪
大人の恋はどうしても
彼女が例えどんな女性・人間だったとしても彼は嫌いにはならない・好きでいられる、そう感じている
何故だろう
多分、そう決心したのだ
何故‥‥
これ以上の疑問はもう意味をなさない
彼のこれまでの人生は疑問により成立し、それを追求することが生きることであり続けてきた
彼は存在し始めた其の時から、この世界がなくなって存在しなくなるまでずっとただ独り、孤独な魂として生きていくのだろう、そう想い・考え込んでいた
「決して寂しくなんかない」そう自らに言い聞かせ━━
正直、ずっと独りで生き続けてきたため、懸念がない訳でなく、寧ろ大いにある
コミュニケーションして人々を変容させて行くことが使命、そう託宣がおろされた
生きていること自体それこそが豊かさであると
他者と協力体制を築くことで大きな奇跡が齎されるとも
感じたままをアウトプットし、愛を表現して行けと
心を自由に表現して行け、と彼は宣せられた
彼の切なる願いは、この世界に存在・生活したすべての存在が、最低一回は
「この世界に生まれてきて本当によかった」
と心から感激・感謝し嬉し涙でいっぱいの経験をすることである
上を向いていた
そして
言葉で提示されたのに、その表現は自分の思料・語彙を超えていて、もはや、言い表せない
そのような意義・意味を含み、そのような瞬間に人々は自身の生きてきた感激に浸り、至福を感じてるのではなかろうか