立ち飲み処「串三十六(くしさんじゅうろく)」

文字数 564文字

小生こちらの敷居を跨ぐのは実に半年ぶり。
電灯に群がる蛾よろしく、赤提灯の誘惑からは逃れられない男ってなワケです、ハイ。

赤提灯中毒者は小生だけじゃあございませんよ。
見渡せばあれよあれよと中高年男性らが吸い込まれてゆくではありませんか。
え? ドッグランならぬオヤジインだって? やかましいっ(笑)

入店後はお決まりの合言葉、「升酒と塩辛!」でございます。
お品書きなんて小生には必要ナッシング♪
――ただひたむきに一つを極める。
その姿勢はまるで昔気質の頑固な職人のようでもあります、ハイ。

溢れんばかりの升酒に熱い接吻をしたその後は……
出ました! 塩辛親分の登場でございます(笑)
さっそく一口。ん? おっとそう来ましたか。
酸味の強さがニクいではありませんか。くーっ、泣かせるねぇ♪

いやはや酩酊状態の小生、ふとスマホに目をやるとカミさんからのLINEに冷や汗。
般若のスタンプが毎度の酔い冷ましでございます、ハイ。

いくら名残惜しくとも、とにかく帰路につかねばならぬ……
それが所帯持ちの悲しい性(さが)なワケです、ハイ。
後ろ髪を引かれる思いで塩辛親分に別れを告げまして、小生本日はここらでドロンいたします。
ご馳走様でした!

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