結果の次へ ~知的財産のすすめ~

文字数 2,373文字

 首を長くして待っていた結果が発表になった。先月中旬に受験した「知的財産管理技能士検定2級」の合否結果。解答速報の自己採点では合格圏内だったものの、もしかして解答欄がズレていたらどうしよう……字が汚くて読み取れなかったどうしよう……と、この1カ月、気が気じゃなかった。でも、なんとか無事に合格していたので、ひと安心。

 が、問題はこれから。資格をどう活かしていくか、である。この資格をアクセサリーにするために受験したわけではないので、果たしたかった目的のために役立てたい。わたしが知財技能士の資格を取ろうと決めた理由は、たとえ1人でもいいから知財の面白さを知ってもらいたい、そのためにライターとしてできることをしたい、と思ったから。

 ちなみに、知的財産(知財)とは、特許、実用新案、意匠、商標、著作物、種苗、営業秘密などを言う。2年ほど前、知財に関する取材執筆をしたことがきっかけで、知財の面白さにすっかりハマってしまった。権利取得を目指すことになった経緯や、対象物が完成するまでの失敗や苦労、権利取得までの一筋縄ではいかない道のりなど、泥臭い人間ドラマが満載で、話にぐいぐい引き込まれた。

 正直なところ、取材をするまでは、知財なんて専門知識がなければ理解できないし、自分には関わりのない世界だと思っていた。が、知財の知識がまったくないわたしでも話を理解できたし、知財って身近なところに結構あるんだ、と感心した。とっつきにくそうという知財のイメージがガラリと変わり、この面白さが多くの人に伝わっていないとは、なんてもったいないんだ! と思ったのである。

 別に知財そのものと関わらなくても、権利を取得するまでの人の動きに着目して、それをテーマに小説を書いたり映画やドラマをつくったりすることだってできる。たとえば恋愛小説なんかで、両想いになるまでの過程に「友人権」とか「恋人権」とか「愛人権」とかを設けて、その権利を取得した者しかその関係になれないとかの設定にすれば、一風変わったラブストーリーができるかもしれない。

 知財と直接関わりのないことに活かせるかもしれないことも含め、まずは知財の面白さと可能性を知ってもらいたい。それを伝えるためには、まずわたし自身がもう少し知識を身に付ける必要がある。と思い、知的財産管理技能士の資格を取得したのだ。

 とはいえ、知財技能士の2級ぐらいでは専門家とは言えず、知らないことやわからないことばかり。試験勉強のときにテキストを読んでも意味がわからず、「なんの話してます?!」とテキストを揺さぶったこともしばしばあった。だから、専門的な解説はもっと上の資格を有している専門家に任せることにして、わたしは勉強中の知財技能士として、わからないことをわからないと伝え、その答えを汗をかきかき調べ、その過程と結果を伝えていこうと思う。そんな姿をお見せしながら、知財の面白さを発信していきたい。

 それを発信するために、知財専用のアトリエを立ち上げる準備をしている。このサイトにはビジネス寄りのコンテンツがないから、そういうコンテンツのあるサイトに新規登録しようかとも考えたけれど、わたしは面倒くさがり屋なので、あちこちにSNSを立ち上げるような面倒くさいことはしたくない。せっかく縁あって、このサイトで初めてSNSをスタートしたので、ひとまず知財専用の投稿もここでやってみることにする。

 本当に、知財は意外と身近なところにある。つい先般、話題になった「たけのこの里」の立体商標などは、まさにその一例。商標権に興味がなくても、“たけのこの里が3年ぐらいかかって立体商標権を取得したんだって”という話なら興味が湧く。そんなウワサ話感覚で、身近な知財の面白さを伝えていけるよう頑張りたい。

 ちなみに、このサイトのわたしの投稿も、ちょっとだけ知財の知識を活用している。「フリーライターのコラム」を立ち上げたとき、最初から、投稿の内容は必ず影響を受けた本を絡めるようにしよう、と決めていた。実際そういう構成にしたし、さらには本の表紙の画像もアップしている。が、実は、本の表紙を許可なくSNSにアップすることは、著作権法の「公衆送信権」の侵害になることがある。そうならない場合もあるが、その都度、確認するのが面倒だと思ったわたしは、すべての投稿で本の表紙の画像をアップすることにした。

 一か八かの度胸試しでそうしたわけではなく、もちろんちゃんとした理由がある。ちょうど検定の勉強中だったので、テキストに載っている著作権法の解説を読んで、これをやってみよう、と思った。専門家に聞いたわけではなく自分の解釈でやったことだから、もしかして間違っているかもしれない。でも、条文を読み、覚えるだけでは勉強した甲斐がないし、資格を取った意味がない。間違っていても構わないから実践してみることで、資格が生きたものになると思うし、失敗したり恥をかいたりしながら伝えるほうが、知財の面白さを生々しく伝えられると思っている。

 本の表紙をアップした理由については、知財専用のアトリエを立ち上げたら最初の投稿のテーマにしたいので、ここでは保留。いましばらくお待ちくださいませ。


技能検定制度・技能士に係るロゴマーク。
公募で選ばれたロゴだそうで、2014年から採用されている。
あらゆる技能士が使用できるほか、技能検定制度に関わる企業・団体なども無料で使用できる。

ちなみに、デザインの趣旨はこう紹介されている。
◎「Global」「Ginou(技能)」の「G」をモチーフとして作成。
◎日の丸はその中心であり続ける人たちの決意を、人が原点であり、原点を忘れないことでもあります。
◎整然と並ぶ姿は、「正確なすり合わせ」「職人」「努力」「技術の蓄積」「等級」を表しています。

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