第4話

文字数 384文字

 島影が見えた頃、舟の底に穴が開き、そこから浸水していることに気づいた。俺は両手で水を掻き出したが埒があかない。荷物を捨てた。それでも小舟は沈むことを免れなかった。島はすぐそこだ。俺は泳ぐことにした。鬼たちの宝は持ち帰れなかったが、島に帰れば俺は一生に渡って長者として生きられる。

 水面下で巨大な何かが泳ぐのが見えた。亀かと思っていたが違った。そいつは大きく口を開け上昇してきた。鮫だ。俺は刀を抜き、鮫を斬った。それでもしぶとく向かってきた。刀で頭を串刺しにした。ようやく動きを止めた。俺はまた泳いだ。陸地が近づく。が、また鮫が現れた。しかし今度は三匹、いや五匹はいた。殺した鮫の血におびき寄せられたのだ、と気づいたのも束の間、俺は右足を食い千切られていた。刀を振るったが水の中では多勢に無勢だった。腕を食われ、腹をえぐられた。俺は真っ暗な闇に引きずり込まれていった。
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