第2話 予想不可能な襲来

文字数 1,226文字

 朝起きたら、仕事してたら、歩いてたら、身体にズシっと重りが乗せられた気になる時はないだろうか。あ、今日気分悪いなーみたいな感じ。あれを倦怠感、と呼ぶ。

 線維筋痛症の症状では倦怠感が強く、それだけで寝たきりになる人もとても沢山存在する。そして、全くいつくるか予想できない。
 また、線維筋痛症の特効薬的な存在に『リリカ』という薬がある。可愛い名前の薬だが、副作用がえげつない。傾眠、めまい、吐き気、倦怠感、太る。『リリカ』を避けるにしても、同じような副作用の『サインバルタ』『トラムセット』あたりを飲まないと痛くて生活できないので、まあ大体同じだ。
 病気そのものと服用薬というダブルパンチによって、線維筋痛症患者は基本的に体調が悪い。トイレに行くのもゼエゼエだったりして。

 特に苦手なのは、気圧変化と気温変化。春や秋のような季節の変わり目は、悪い体調が極まって悪くなり、もう地獄だ。私がSNSで集めた《線維筋痛症患者タイムライン》は阿鼻叫喚と化す。みんな身体に何トンも重しを乗せられてヒイヒイ言いながら、唯一与えられた情報端末を触って悲鳴を上げるのである。

 こんな病気で仕事がまともにできるわけが、ないと思う。仕事中に痛みでPCを触れなくなったり、突然、ふらりと傾眠して2時間起きないこともザラだ。以前は正社員だったがやはり続けられなくなり、今はフリーで細々と仕事をしている。

 ちなみに、国はこの病気を難病と指定していない。治療法のない《難病》であるのに、だ。そうなると患者は医療費助成が受けられないので、負担額が大きい。線維筋痛症は検査をしても異常が見当たらない病気のため、確定診断を受けるまでに病院をいくつもたらい回しに遭うのがデフォだが、その検査費用も何種類も試される服用薬も、助成されない。

 極めつきには、仮病みたいなもんでしょ?というイメージから、障害者手帳も、障害年金も申請が通らないことがよくある。
 ※『「障害年金」は、私たちが病気やけがなどによって障害の状態になったとき、生活を支えるものとして支給されます。「障害の状態」とは、視覚障害や聴覚障害、肢体不自由などの障害だけでなく、長期療養が必要ながんや糖尿病、心疾患、呼吸器疾患などの内部疾患、または統合失調症などの精神の障害により、仕事や生活が著しく制限を受ける状態になったときなども含まれます。また、障害者手帳を持っていない場合でも、障害年金を受けることができます。』─政府広報オンラインより

 ※ 障害年金について。全国民に年金を支払わせているくせに、いざ障害となった際に申請しても、受理率は35%しかないという、とんでも状態に陥っている。(平成23年時点) 65%は切り捨てられている。

 暗い話が多くなってしまったが、最後にひとこと。筆者は線維筋痛症患者の中では 「症状が軽い方である」。
 寝たきり、全身痛、車椅子、金銭的支援策なし。いやあ、生き方を教えてほしいなあ、なんてね。
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