パトスブリード、エクスターミネイト
文字数 1,991文字
最悪だ、最近の学校生活は最悪だ。
とにかく落ち着きがない、怒りっぽい。
授業中、誰かがヒソヒソ喋って、こそこそ動き出すのが気に触る。
「タモツ、お前変だよ。」
授業中、隣の席の奴が俺にささやく。
かかとを踏み鳴らし、イライラして集中出来ない、本がまともに読めない。
一時間座ってられない、何もかもが気に触る
「明日休もう、ひどく過敏になってるみたいだ。」
帰り、頭をバリバリかいて、ため息付いて家を見ると、緑色の髪の同年代の男が立っている。
すり切れたジーンズにTシャツ、いっぱいキーホルダーの下がった丈の短い上着着たチャラい格好で、こっち見ると手を上げた。
「うわっ、誰?マジやばそう。」
知らない振りしてやり過ごそう。
スタスタスタスタ
うつむいて、ドキドキしながら無視して前を通り過ぎる。
「 君 」
「な、なに?」
引きつった笑顔で振り向くと、そいつは暗い顔でニヤリと笑う。
「 パトスブリード、一匹見っけ 」
そう言って、僕になんかデカい銃を向けた。
「 いっ! 」 ドンッ!
カッと、もの凄い光が放たれ、目が潰れそうになるほど、視界が真っ白になった。
「ギャッ!なに?なにをっ?!!」
目を覆ってうつむくと、身体中から何かがズルリと抜けて行く。
「ひいっ!」
激しい脱力感に、立っていられずつんのめる。
すると、いきなり振り回されながら景色が暗くなった。
ここはなんだ?あれ?モノクロになってる?!
ぶんっと振り回されて、何かに叩きつけられ、うめいて頭を押さえる。
「起きろ!周りを見ろ、自分を守れ!」
その声に、ハッと顔を上げると僕は目を疑った。
両足が動物の尻に埋まって、僕は、巨大な犬の尻尾になっていた。
「ぎゃああああああ!!なんで尻尾おっ!!」
「尻尾の先くらいにしか、思われてなかったんだろうなあ。」
「は?」
キイイイイイイイ!!
「うわっ!何この音?!」
「こいつの鳴き声!君、最近イライラしてただろ?」
「た、確かにっ、うわああっ!」
「舌噛むぞ、歯を食いしばれ!」
犬は、緑頭を倒そうと向かって行く。
キイイイイアアアアアア!!
バッと鋭い爪で襲ってくる攻撃をかわしながら、緑頭は銃を構えるが撃たない!
「倒してよ!ラブ!」
「嫌よ、美しくないもの。アンダンテが倒しなさい。」
バッ!
「あっつっ!!」
爪が上着に引っかかって、緑頭が叩きつけられた。
すかさず獣は踏みつけて牙を剥く。
「ちょっとお!マジかよっ!!」
あいつ死んだら僕はどうなるんだよ!一生尻尾かよ!冗談じゃねえぞ!!
牙を掴んで耐える緑頭に、獣のよだれがぼとりと落ちる。
「きゃあっ!汚いわ!アンダンテ!グラーヴェ、シャウト!」
アンダンテと呼ばれた緑頭が、大きく息を吸う。
ウオオオオオオオオオッ!!
地鳴りのような咆哮を上げた瞬間、獣の頭が吹き飛んだ。
頭が消えた獣は崩れていく。
僕はドサンと地に落ちて振り返ると、小さくなった獣が最後にポトンと落ちた。
「アンダンテ!可哀想に、汚れてしまったわ!私のアンダンテ!」
「大丈夫だって、イブ。大丈夫だから。
君、無事?」
「ああ、ありがとう、いったい、 何が起きたんだ?」
「君の心にブリードが入り込んだ、16才の少年が大好物なんだ。
僕はアンダンテ、君は? 最近、何か変わった事は?」
「ありがとう、助かった。僕はタモツ、山下保。
……あっ、そう言えば、友達と2人で占いして貰った。
水晶玉でおばさんが、僕と健二を。」
「その健二はどこ?」
「そう言えばあいつ、最近休んでる。」
「わかった、タモツ行こう。」
そう言って、アンダンテは落ちてるさっきの小さくなった獣を拾い上げると、髪の毛を抜いて服にぶら下げる。
その瞬間、それはオモチャのキーホルダーになった。
「あれ?さっきの女の人の声は?」
「イブ」 銀色の銃を見せた。
「ありがとう、イブさん。」
「あら、ちゃんとお礼言う子は好きよ。」
「では、ここを出る!」
アンダンテがそう言って、また僕に銃を向けると、撃つ。
「え?ちょ、っと待ったあ!!」
まぶしい光に目をつぶり、その場に倒れ込む。目を開けると家の前だった。
「行こう!タモツ!」
「うん!」
僕らは健二の家に走り出す。
彼が走ると、胸のキーホルダーがガチャガチャ音を立てる。
まさか、あれ全部獲物?
「ここだよ!」
その一軒家に来ると、ザッと立ち止まって空を仰ぐ。
どこか雰囲気が暗く、近づくと足が重い。
「部屋は2階だね?」
「うん、あの正面の窓。」
指を指すと、アンダンテが数歩下がり、一気に駆け出す。
驚くほどのジャンプ力で垣根を越えて、閉めてある2階の窓を突き抜けた。
次の瞬間、窓から閃光が走り、2階の窓から巨大な真っ黒な煙が鳥のような形を作って空へと逃げて行く。
アンダンテはその足に掴まり、空高く飛んで行った。
ドオーーーーン
空から雷鳴のような音が轟き、小さな鳥の人形が落ちてくる。
拾い上げて空を仰ぐと、彼が健二を抱いて降りてきた。
僕は大きく息を付き、彼に無視した事を謝ろうと思った。
とにかく落ち着きがない、怒りっぽい。
授業中、誰かがヒソヒソ喋って、こそこそ動き出すのが気に触る。
「タモツ、お前変だよ。」
授業中、隣の席の奴が俺にささやく。
かかとを踏み鳴らし、イライラして集中出来ない、本がまともに読めない。
一時間座ってられない、何もかもが気に触る
「明日休もう、ひどく過敏になってるみたいだ。」
帰り、頭をバリバリかいて、ため息付いて家を見ると、緑色の髪の同年代の男が立っている。
すり切れたジーンズにTシャツ、いっぱいキーホルダーの下がった丈の短い上着着たチャラい格好で、こっち見ると手を上げた。
「うわっ、誰?マジやばそう。」
知らない振りしてやり過ごそう。
スタスタスタスタ
うつむいて、ドキドキしながら無視して前を通り過ぎる。
「 君 」
「な、なに?」
引きつった笑顔で振り向くと、そいつは暗い顔でニヤリと笑う。
「 パトスブリード、一匹見っけ 」
そう言って、僕になんかデカい銃を向けた。
「 いっ! 」 ドンッ!
カッと、もの凄い光が放たれ、目が潰れそうになるほど、視界が真っ白になった。
「ギャッ!なに?なにをっ?!!」
目を覆ってうつむくと、身体中から何かがズルリと抜けて行く。
「ひいっ!」
激しい脱力感に、立っていられずつんのめる。
すると、いきなり振り回されながら景色が暗くなった。
ここはなんだ?あれ?モノクロになってる?!
ぶんっと振り回されて、何かに叩きつけられ、うめいて頭を押さえる。
「起きろ!周りを見ろ、自分を守れ!」
その声に、ハッと顔を上げると僕は目を疑った。
両足が動物の尻に埋まって、僕は、巨大な犬の尻尾になっていた。
「ぎゃああああああ!!なんで尻尾おっ!!」
「尻尾の先くらいにしか、思われてなかったんだろうなあ。」
「は?」
キイイイイイイイ!!
「うわっ!何この音?!」
「こいつの鳴き声!君、最近イライラしてただろ?」
「た、確かにっ、うわああっ!」
「舌噛むぞ、歯を食いしばれ!」
犬は、緑頭を倒そうと向かって行く。
キイイイイアアアアアア!!
バッと鋭い爪で襲ってくる攻撃をかわしながら、緑頭は銃を構えるが撃たない!
「倒してよ!ラブ!」
「嫌よ、美しくないもの。アンダンテが倒しなさい。」
バッ!
「あっつっ!!」
爪が上着に引っかかって、緑頭が叩きつけられた。
すかさず獣は踏みつけて牙を剥く。
「ちょっとお!マジかよっ!!」
あいつ死んだら僕はどうなるんだよ!一生尻尾かよ!冗談じゃねえぞ!!
牙を掴んで耐える緑頭に、獣のよだれがぼとりと落ちる。
「きゃあっ!汚いわ!アンダンテ!グラーヴェ、シャウト!」
アンダンテと呼ばれた緑頭が、大きく息を吸う。
ウオオオオオオオオオッ!!
地鳴りのような咆哮を上げた瞬間、獣の頭が吹き飛んだ。
頭が消えた獣は崩れていく。
僕はドサンと地に落ちて振り返ると、小さくなった獣が最後にポトンと落ちた。
「アンダンテ!可哀想に、汚れてしまったわ!私のアンダンテ!」
「大丈夫だって、イブ。大丈夫だから。
君、無事?」
「ああ、ありがとう、いったい、 何が起きたんだ?」
「君の心にブリードが入り込んだ、16才の少年が大好物なんだ。
僕はアンダンテ、君は? 最近、何か変わった事は?」
「ありがとう、助かった。僕はタモツ、山下保。
……あっ、そう言えば、友達と2人で占いして貰った。
水晶玉でおばさんが、僕と健二を。」
「その健二はどこ?」
「そう言えばあいつ、最近休んでる。」
「わかった、タモツ行こう。」
そう言って、アンダンテは落ちてるさっきの小さくなった獣を拾い上げると、髪の毛を抜いて服にぶら下げる。
その瞬間、それはオモチャのキーホルダーになった。
「あれ?さっきの女の人の声は?」
「イブ」 銀色の銃を見せた。
「ありがとう、イブさん。」
「あら、ちゃんとお礼言う子は好きよ。」
「では、ここを出る!」
アンダンテがそう言って、また僕に銃を向けると、撃つ。
「え?ちょ、っと待ったあ!!」
まぶしい光に目をつぶり、その場に倒れ込む。目を開けると家の前だった。
「行こう!タモツ!」
「うん!」
僕らは健二の家に走り出す。
彼が走ると、胸のキーホルダーがガチャガチャ音を立てる。
まさか、あれ全部獲物?
「ここだよ!」
その一軒家に来ると、ザッと立ち止まって空を仰ぐ。
どこか雰囲気が暗く、近づくと足が重い。
「部屋は2階だね?」
「うん、あの正面の窓。」
指を指すと、アンダンテが数歩下がり、一気に駆け出す。
驚くほどのジャンプ力で垣根を越えて、閉めてある2階の窓を突き抜けた。
次の瞬間、窓から閃光が走り、2階の窓から巨大な真っ黒な煙が鳥のような形を作って空へと逃げて行く。
アンダンテはその足に掴まり、空高く飛んで行った。
ドオーーーーン
空から雷鳴のような音が轟き、小さな鳥の人形が落ちてくる。
拾い上げて空を仰ぐと、彼が健二を抱いて降りてきた。
僕は大きく息を付き、彼に無視した事を謝ろうと思った。