第3話 ふしぎな石の精

文字数 789文字

 カミュの家から帰ってきたルルは、ふしぎな石をもって、自分の部屋へと戻りました。
 すると、外にいたときはみどり色だった手のひらの中の石は、またあか色になっています。
 本当にふしぎな石です。

 
 めずらしい石だから、大事にした方がいいとカミュにもいわれた石です。
 ルルは寝るとき枕もとにふしぎな石を置いて、眠りました。

 夜がふけていきます。
 ルルが寝ていると、とつぜん石がひかりました。
 あんまり強い光だったので、ルルはおきてしまいます。
 ひかりの中からみどり色の服をきた人が現れて、ベッドのわきに浮き上がりました。
 その人は、ルルよりも大きくて、短い焦げ茶色の髪の、精悍な青年でした。

「あなたはだれ?」

 そう聞くと、青年はこたえました。

「おれは空からおりてきた、ふしぎな石の精」

 ルルはびっくりしました。ふしぎな石は、精霊に姿をかえたのです。
 ふしぎな石の精の胸には、たくさんのあか色の、丸い石をつらねた首飾りがさがっています。

 ふしぎな石の精は真剣な目でルルをみました。

「君に、お願いがあるんだ」

 ふしぎな石の精は、ルルに言いました。

「おれの大事な人に関わる青い石を、いっしょに探して欲しいんだ」
「青い石?」
「おれの耳についている石と同じものだ」

 ふしぎな石の精の耳をよくみると、たしかに耳飾りをしていました。
 親指の爪ほどの大きさの青い石が、金色のくさりでさがっています。

 ルルは、ふしぎな石の精の真剣な目をみました。

「青い石はとても大事なものなのね。分かったわ、いっしょにさがしましょう」

 ふしぎな石の精はにこりと笑って、とてもよろこびました。

「ありがとう、助かるよ。ところで、君の名前はなんていうんだ?」
「ルルよ」 
「ルル、これからよろしく」

 ふしぎな石の精は、ルルに手を差し出しました。
 ルルもふしぎな石の精に手を伸ばします。
 そして、二人はえがおで握手をかわしました。
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