ルーデシア
文字数 799文字
ジャスティン王子に突然襲われ、私は逃げ回っていた。
襲われるといっても、ロマンチックな意味はまったくない。
普通に、本気で、命を狙われていた。
なにしろ魔法を詠唱して、私に直撃させようとしてきたからね。
本当に唐突すぎる。
たしかにこの世界の元ネタ――って言い方でいいのかはわからないけど――である『ロマンス・オブ・ファンタジア』のゲームシナリオでは、シルフィラは彼に殺される。
でもそれは、シルフィラが彼を手に入れたがって、邪魔なヒロイン=ルーデシアを殺そうとしたからだ。
それを私は知っていたから、極力二人とは接触しないよう気をつけてたのに。
なんで突然殺そうとしてくるの!
――バン!
ぎゃーーーーー!
またしても本気の一撃。
私のすぐ横の地面に穴が開く。
「待ちたまえ、ブラドフィリア嬢」
待つわけないでしょ、バカ!
声だけ優しげだけど、ジャスティン王子の顔は本気だ。
侮蔑のこもった表情で私を見下ろし、殺意のこもった眼差しで私を睨んでいる。
うう、逃げたいけど、体力がなくて逃げられない。
魔力が足りない。
血が足りない。
でも、吸えないのだ。
あ、ヤバい。
これ詰んだかな。
ジャスティン王子がすぐ間近で手を掲げ、魔法の詠唱をする。
この距離じゃ避けられないよ……。
ああ……せっかく転生したのになぁ。
もうちょっと生きたかったなぁ。
「誰かいるんですか?」
と、そのとき、寮のほうから声がした。
「ちっ」
ジャスティン王子の判断は早かった。
彼は即座に詠唱を中断し立ち去る。
た、助かったの、かな……。
「あ、シルフィラさん!」
誰かが私の名前を呼んで駆け寄ってくる。
誰だろう。
声には聞き覚えがある。
けど、それが誰か確認するより早く、私は気を失ってしまった。
襲われるといっても、ロマンチックな意味はまったくない。
普通に、本気で、命を狙われていた。
なにしろ魔法を詠唱して、私に直撃させようとしてきたからね。
本当に唐突すぎる。
たしかにこの世界の元ネタ――って言い方でいいのかはわからないけど――である『ロマンス・オブ・ファンタジア』のゲームシナリオでは、シルフィラは彼に殺される。
でもそれは、シルフィラが彼を手に入れたがって、邪魔なヒロイン=ルーデシアを殺そうとしたからだ。
それを私は知っていたから、極力二人とは接触しないよう気をつけてたのに。
なんで突然殺そうとしてくるの!
――バン!
ぎゃーーーーー!
またしても本気の一撃。
私のすぐ横の地面に穴が開く。
「待ちたまえ、ブラドフィリア嬢」
待つわけないでしょ、バカ!
声だけ優しげだけど、ジャスティン王子の顔は本気だ。
侮蔑のこもった表情で私を見下ろし、殺意のこもった眼差しで私を睨んでいる。
うう、逃げたいけど、体力がなくて逃げられない。
魔力が足りない。
血が足りない。
でも、吸えないのだ。
あ、ヤバい。
これ詰んだかな。
ジャスティン王子がすぐ間近で手を掲げ、魔法の詠唱をする。
この距離じゃ避けられないよ……。
ああ……せっかく転生したのになぁ。
もうちょっと生きたかったなぁ。
「誰かいるんですか?」
と、そのとき、寮のほうから声がした。
「ちっ」
ジャスティン王子の判断は早かった。
彼は即座に詠唱を中断し立ち去る。
た、助かったの、かな……。
「あ、シルフィラさん!」
誰かが私の名前を呼んで駆け寄ってくる。
誰だろう。
声には聞き覚えがある。
けど、それが誰か確認するより早く、私は気を失ってしまった。