第45話 『街中の看板の文字』  ~進むべき道を知らせてくれる~

文字数 1,123文字

街中で、ふと見かける看板。
その看板の文字が大切なメッセージとなっていることは、じつは多い。
このメッセージを活かすことで、人生が大きく変わってくる。
あの時の出来事も、まさにそうだった。

数年前のこと。
その頃、ブログ記事の毎日更新をしていた。
文章を書く鍛錬として始めたわけだが、これがかなり大変だった。
なぜなら「その日起きた出来事」という条件を決めたからである。

普通に書くのでは味気ないので、いわゆる「縛り」をつけた。
その「縛り」に手を焼いたわけである。

ブログに書く以上は、ある程度、面白い内容でなくてはならない。
しかし、そうそう毎日、面白い出来事が起きるものではない。

「うむむ。今日は書くことがない……」

そんな時は、なんとか頭を捻って、何気ない日常の出来事の「面白い切り口」を探すしかない。

どんなテーマでも良ければ、毎日ブログを書くことはさほど大変でもない。
しかし、「その日起きた出来事」という「縛り」が予想以上にキツかった。

それでも何とか3ヵ月、毎日更新を続けた。

そんなある日。
「桜まつり」の帰り道でのこと。
この先、ブログの毎日更新を続けるかどうか考えながらクルマを走らせていた。

「さすがに縛りがキツイ……3ヵ月がんばったので、そろそろ毎日更新やめようか……」

そう考えつつ、ふと窓の外を見た。

大きな看板が視界に飛び込んできた。
その看板に書かれた文字を見て、驚かされた。

「えええっ!マジか……」

看板に書かれていた文字は……
なんと!

――『KEEP』

「キープ」つまり「継続」である。
これには思わず笑ってしまった。

私は毎日更新をそろそろ辞めようかと考えていた。
すると、街中の看板に「継続しろよ」と言われてしまったのである。

――驚愕のタイミングである!

「あぁ…‥じゃあ、仕方ない。継続するかぁ」

こうして、ブログの毎日更新を1年間続けた。
しかも「その日起きた出来事」という縛りつきで。

正直、これはかなり苦労をしキツイ経験となった。

しかし、前向きな苦労ほど身になるものはない。
おかげで、頭を捻って文章を書く為に必要な「耐力」が養われた。

「継続は力なり」とも言う。
まさに、それだった。

今思うと、あの時、あのタイミングで街中の看板が、

――「継続しろよ!」

と、よくぞ言ってくれたと感じている。

街中の看板が、私にとって必要かつ重要なことを言ってくれたとは驚きである。

しかし本当は、気づかないだけで、自分にとって必要なメッセージは日常の至る所に届けられているのかも知れない。

大切なのは、そのメッセージに気づき、実行することなのではなかろうか……
ふと、そんなことが思い浮かんだ。

それにしても……

――あのタイミングで看板が現れるとは……

まさに「事実は小説よりも奇なり」である。


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