オナラに無限転生した俺
文字数 1,938文字
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確かに俺は交通事故に遭ったはずだった。
体は吹き飛ばされて、花壇のレンガに頭をぶつけて、鈍痛、のちに痛みを全く感じなくなり、あぁ、死ぬんだと思って。
でも今、俺はどこにいる?
真っ暗闇で何だか狭そう、でも自分の体はまるで空気のように軽く感じて窮屈さは思わない。
一体ここはどこで、俺はどういう状態なのだろうか。
もしかすると俺は胎児に転生したのでは。
また一から人生を全うするのか、と思ったその時だった。
俺は何かに強く押され、何らかの穴をスゥーっと通った刹那、目の前がパァっと明るくなった。
そこで俺の耳に入ってきた言葉は、子供の声でこうだった。
「あぁ! ヒロシくん! オナラこいたぁっ!」
急にオナラのシーンに転生っ?
どういうことだ? 俺は胎児じゃないのか?
というか俺の視点は今どこだ、何だこの大体人の腰あたりばかり見える映像は。
俺は戸惑いながらどこかを漂っていると、またさっきの子供の声で、
「というか、ヒロシくんのオナラくっせぇ!」
その言葉と同時に俺の目の前には、人間の手が現れて、その人間の手が俺をかき混ぜる。
いや俺をかき混ぜる? 確かに空気のように軽く感じていたが、俺って空気なの? 空気に転生したのか?
そんなことを考えつつ、徐々に俺の意識は薄れていった。
あれ? 空気に転生したのに、また死ぬのか……? このまま地球を漂うのではないのか……?
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気付いた時にはまた、薄暗く狭さのある、でも自分は相変わらず実体が無いように軽く……と思ったところで、俺は一つの仮定が浮かんでしまった。
もしや俺……オナラに転生している? さっきオナラに転生して、またオナラに転生している?
と思ったその時だった。
俺はまた何かに押されて、穴を通過って! 穴! お尻の穴じゃん! と心の中で叫びながら、目の前が明るくなって、また誰か人間の腰のあたり……否、お尻のあたりだよ!
またオナラを誤魔化すために、手で俺をかき混ぜるのかなと思っていると、どうやらその出した主はかき混ぜない。
何でだろうと思いながら、徐々に上空へ浮いていくと、そこが講演会ということが分かった。
どうやらオナラを出した主は美容研究家で、オナラよりも自分の講演に夢中だった。
俺は「美プゥだな」という訳の分からない言葉を浮かべながら、また意識は薄れていった。
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次は雨女と罵られている女性から出た。
そんな俺は涙のように湿ったオナラだった。
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上司に叱られている時に出たオナラの俺の音に、ビビってしまった上司はどこかへ行った。
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エステされている時に出たオナラの俺、でもエステティシャンは無言で、プロすげぇって思った。
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出た瞬間、めちゃくちゃ熱かったので、めちゃくちゃ熱いオナラなんだ俺と思っていたら、俺は釜飯の中に入れられたらしい。
友達がお手洗いに行っている間に釜飯が運ばれてきて、その隙にオナラを釜飯に入れるイタズラをしたらしい。
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千里眼少女がオナラをしても一人。
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朝シャン中に出すオナラの長さで、今日の運勢を決めていた男子のオナラとして出た俺。
「クサいけど良い屁が出たぜ!」
と快活に笑った男子。
当たりの転生だった、と思った。
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バッシュがキュッキュッキュッキュップゥッキュッキュッキュッ。
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それにしても何で俺はこんなオナラにばかり転生するようになってしまったのか。
何か理由があるのだろうか、オナラとしての経験値を上げることに何か理由が、と思っていたある日、とある大学生のオナラにばかり転生するようになってしまった。
それは便秘気味で悩んでいる大学生のオナラ。
特に俺はお手洗いで踏ん張っている時に出る、カスのオナラとして出ることが多くて。
俺だけが出る度に、その大学生は溜息をついて、俺は正直どうにかしたいと思っている。
そこで俺は頑張って、自由に体が動かせないかと何度も何度も試した。
何度か転生したのち、体内に居ても外の音が完全に聞こえるようになり、さらにはついに体が動かせるようになったので、俺はお手洗いのタイミングの時にウンコへ抱きついた。
そしてウンコに抱きついたまま俺は、何かに押し出されて穴を通って排出されたのだ。
その時の主の大学生の喜んだ声と言ったら、俺は何回転生しても忘れられないだろう。
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あれから、あの大学生は社会人になり、今日も彼のためにウンコに抱きついて排出されている。
多分俺はこの彼が死ぬまで彼のオナラに転生し続けるだろう。
でもそれでいい。
やりがいのある生活は楽しいから。
しかしながら本当に良かった。
彼と共に安心した生活を、と、ホッと一息したところで急に俺がプッと出て、おあとがよろしいようで。
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確かに俺は交通事故に遭ったはずだった。
体は吹き飛ばされて、花壇のレンガに頭をぶつけて、鈍痛、のちに痛みを全く感じなくなり、あぁ、死ぬんだと思って。
でも今、俺はどこにいる?
真っ暗闇で何だか狭そう、でも自分の体はまるで空気のように軽く感じて窮屈さは思わない。
一体ここはどこで、俺はどういう状態なのだろうか。
もしかすると俺は胎児に転生したのでは。
また一から人生を全うするのか、と思ったその時だった。
俺は何かに強く押され、何らかの穴をスゥーっと通った刹那、目の前がパァっと明るくなった。
そこで俺の耳に入ってきた言葉は、子供の声でこうだった。
「あぁ! ヒロシくん! オナラこいたぁっ!」
急にオナラのシーンに転生っ?
どういうことだ? 俺は胎児じゃないのか?
というか俺の視点は今どこだ、何だこの大体人の腰あたりばかり見える映像は。
俺は戸惑いながらどこかを漂っていると、またさっきの子供の声で、
「というか、ヒロシくんのオナラくっせぇ!」
その言葉と同時に俺の目の前には、人間の手が現れて、その人間の手が俺をかき混ぜる。
いや俺をかき混ぜる? 確かに空気のように軽く感じていたが、俺って空気なの? 空気に転生したのか?
そんなことを考えつつ、徐々に俺の意識は薄れていった。
あれ? 空気に転生したのに、また死ぬのか……? このまま地球を漂うのではないのか……?
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気付いた時にはまた、薄暗く狭さのある、でも自分は相変わらず実体が無いように軽く……と思ったところで、俺は一つの仮定が浮かんでしまった。
もしや俺……オナラに転生している? さっきオナラに転生して、またオナラに転生している?
と思ったその時だった。
俺はまた何かに押されて、穴を通過って! 穴! お尻の穴じゃん! と心の中で叫びながら、目の前が明るくなって、また誰か人間の腰のあたり……否、お尻のあたりだよ!
またオナラを誤魔化すために、手で俺をかき混ぜるのかなと思っていると、どうやらその出した主はかき混ぜない。
何でだろうと思いながら、徐々に上空へ浮いていくと、そこが講演会ということが分かった。
どうやらオナラを出した主は美容研究家で、オナラよりも自分の講演に夢中だった。
俺は「美プゥだな」という訳の分からない言葉を浮かべながら、また意識は薄れていった。
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次は雨女と罵られている女性から出た。
そんな俺は涙のように湿ったオナラだった。
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上司に叱られている時に出たオナラの俺の音に、ビビってしまった上司はどこかへ行った。
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エステされている時に出たオナラの俺、でもエステティシャンは無言で、プロすげぇって思った。
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出た瞬間、めちゃくちゃ熱かったので、めちゃくちゃ熱いオナラなんだ俺と思っていたら、俺は釜飯の中に入れられたらしい。
友達がお手洗いに行っている間に釜飯が運ばれてきて、その隙にオナラを釜飯に入れるイタズラをしたらしい。
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千里眼少女がオナラをしても一人。
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朝シャン中に出すオナラの長さで、今日の運勢を決めていた男子のオナラとして出た俺。
「クサいけど良い屁が出たぜ!」
と快活に笑った男子。
当たりの転生だった、と思った。
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バッシュがキュッキュッキュッキュップゥッキュッキュッキュッ。
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それにしても何で俺はこんなオナラにばかり転生するようになってしまったのか。
何か理由があるのだろうか、オナラとしての経験値を上げることに何か理由が、と思っていたある日、とある大学生のオナラにばかり転生するようになってしまった。
それは便秘気味で悩んでいる大学生のオナラ。
特に俺はお手洗いで踏ん張っている時に出る、カスのオナラとして出ることが多くて。
俺だけが出る度に、その大学生は溜息をついて、俺は正直どうにかしたいと思っている。
そこで俺は頑張って、自由に体が動かせないかと何度も何度も試した。
何度か転生したのち、体内に居ても外の音が完全に聞こえるようになり、さらにはついに体が動かせるようになったので、俺はお手洗いのタイミングの時にウンコへ抱きついた。
そしてウンコに抱きついたまま俺は、何かに押し出されて穴を通って排出されたのだ。
その時の主の大学生の喜んだ声と言ったら、俺は何回転生しても忘れられないだろう。
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あれから、あの大学生は社会人になり、今日も彼のためにウンコに抱きついて排出されている。
多分俺はこの彼が死ぬまで彼のオナラに転生し続けるだろう。
でもそれでいい。
やりがいのある生活は楽しいから。
しかしながら本当に良かった。
彼と共に安心した生活を、と、ホッと一息したところで急に俺がプッと出て、おあとがよろしいようで。