第2話 ヒーロー退治のことなんだけどっ！！
文字数 1,465文字
あー、だりぃ。土曜日なのにやることねぇ。
バンッッ！！！！
あにあにあにあにっっ！！！！
休みの日になんだよ……。
また魔法少女か？
え？ 魔法少女は平日にしかやらないよ？
休日は空いてる人に任せてるもん。
おいリーダー、しっかりしろ。
で、なに。
大変なのっ！！
ヒーロー戦隊のことなんだけど……。
お前、ヒーローもやってんのか？
魔法少女のくせに……
あまねっ、ヒーローを倒さなきゃなのっ！！
…………。
お前、悪役かよ。
うん！
悪の女幹部、誘惑のネフェンティーとは私のこと！
なにが誘惑だ、中学生のくせに。
いいの！ あまね、可愛いし！！
あと、魔法少女の呼び名ネフェンティー、使い回すなよ。
良い呼び名が思い浮かばなくてぇ。
……そんなことはどうでもいいの！
今日の夕方、あまねが前線で戦わなきゃいけないの！
どうやって戦えばいいと思う！？
知らん、悪役側なら加担しねぇよ。
違うのあに、聞いて！！
聞かない。
あに、あにぃ！！
聞けぇぇぇえええ！！！
……なんだよ。
あまねあまね、魔法少女やってるでしょ？
もし、ヒーローが活躍しちゃったらお仕事無くなっちゃうのっ！
死活問題なのっ！
ヒーローをなんとかしたら、ちゃんと悪の組織もぶっ潰すからっ！！
……正義ってなんなんだろ。
わかったよ。考えればいいんだろ？
あにがとうーっ！！
んで、ヒーローの倒し方？
うんっ！
お前の体液、酸になるんだろ？
それで倒せよ。
あ、魔法少女の技は使っちゃダメ。
ただでさえ名前を使い回しちゃってるから、技まで使い回したらやる気無しって見られて叩かれちゃうんだよね。
あと、ヒーローを倒すって言っても、ボコボコにしちゃ駄目なの。
一応、向こうの方も正義のヒーローとして戦ってるし、応援している人もいるわけだから、その辺りは気を遣って相手しなきゃいけないの。
しかもヒーローを応援してる層ってちっちゃい子が多いから、グロテスクな戦い方すると迷惑かけちゃうしあまねも組織のトップ、総統に怒られちゃうんだよね。
戦いって言ってもショーみたいな所もあるから、夢と希望を与えれるように悪役側も配慮を持って攻めなきゃいけないっていうか。
めんどくさ、寝るわ。
ごめんっ、ごめんって！！
じゃあもう、普通にヒーローの前に出て殴り合えよ。
そんなの怖くて出来ない～！
ボコボコにされちゃう！
悪の組織と魔法少女を兼業してるやつが、なに言ってるんだ。
だったら……。お前、誘惑のネフェンティーなんだろ？
ヒーローの誰か一人を誘惑して、チームを乱すとか出来ないのか？
っ！！
……って、こんなやつの誘惑に引っかかるやつなんていないか。
いや、それ良い！ ナイスあにぃ！！
総統に相談してみるっ！！
いや、総統も許可出さないだろ。
こんな勝算の無い作戦。
……あ、もしもし総統？
今日の戦い、私、ヒーローの誰かを誘惑してみようかなって思ってるんだけど。
お前、組織のトップに馴れ馴れしいな。
うん、うん……。
はーい、わかったー。
総統がヒーローの連絡先くれるって！
あと、あまねちゃんは可愛いから絶対にうまくいくって、応援してくれたっ！！
そうか、上司も変人か……。
天希、奮闘中……、奮闘中……
………………
バンッ！！
あにあに、ただいまーっ！！
うまくいったよー！！
おぅ、おつかれ。
ヒーローブラックを誘惑したら、簡単にはまってくれた！
マジかよ。
ブラック、ロリコンだな。
それでそれで、ヒーローを上手く掻き乱したから、総統が褒めてくれた！！
ご褒美もくれた！！
お前の上司、お前に甘くねぇか？
あとは丁度良いところで総統を裏切って、悪の組織をぶっ潰すだけ！！
……お前が一番の悪役だよ。
