セリフ詳細

 なお、出羽三山と大井沢村の深い縁に関しては、『日本歴史大事典』や『ブリタニカ国際大百科事典』などにも記述されているが、岩佐氏の著書では、(市原・大井沢の双方を現地調査されているにもかかわらず)この点に対して充分に言及されていない印象を覚える。大井沢は、寺社などの信仰だけでなく、出羽三山・湯殿山に登拝する入口でもある。よって、例えば房総・市原の出羽三山講が登拝する際に、大井沢に立ち寄り、現地の人々と交流したり、朝日山地の自然に触れるという事もあり得るだろう。また、岩佐氏の研究を拝読する限り、三山講も大井沢の人々も「山」への関心は共通しているが、遠方から登拝に参る三山講の人々が宗教的なのに対し、現地である大井沢には科学的な気風が強い。人間は定住するだけでなく、必要に応じて移動する存在であり、異なる内発性に基づく、異なる「生活世界」(異文化)が接触し合う事によって、互いに興味深い刺激を得られるはずである。

作品タイトル:ちがくぶ!地球研究会

エピソード名:出羽三山文化圏の持続可能性 市原・大井沢の内発的発展

作者名:スライダーの会  slider

62|科学|連載中|44話|274,160文字

短編, 青春, 高校生, エッセイ, シリアス, 一人称, 女主人公, 群像劇, 現代, 一話完結

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 東京 渋谷区の、とある私立学校に「地学(地球科学)部」という部活があり、私達の世界である地球(岩石圏・水圏・大気圏)と宇宙に関して、主に自然科学的な探究を行っていました。地学部の部室である「地学教材室」は理科館4階にあり、地学部で過ごした日々、ベランダから眺めた天地の景色は、部員だった私達の大切な思い出です。

 やがて卒業し、大学に進学するなどした私達は、地学部の理念を継承した活動を続けるべく、渋谷区や横浜市 青葉区の大学を拠点とするサークル「地球研究会」を結成しました。地球研究会は、地理学・地学などを中心に、私達が暮らし生きる世界を学び、その中に存在する自我を見詰める、総合的ネットワークです。

 現在は、ここ「NOVEL DAYS」に公式ウェブサイトを開設し、國學院大学・法政大学・星槎大学などの学生・卒業生らが参加し、論文や随筆を投稿しております。大学の課題レポートとして執筆した小論文も掲載しているので、学業の参考になるかも知れません。アイコン・イラストの登場人物はフィクションですが、本文で取り扱っているのは現実世界のテーマです。


【詳細】

 地球研究会は、國學院高等学校地学部を母体とし、その部長を務めた卒業生らによって、2007(平成十九)年に「地球研究機構 國學院大学地球研究会」として創立された。國學院大学においては、博物館見学や展示会、年2回(前期・後期)の会報誌制作など積極的な活動に尽力すると共に、従来の学生自治会を改革するべく、志を同じくする東方研究会・政治研究会と連合して「自由学生会議」を結成していた。

 主たる参加者が國學院大学を卒業・離籍した後も、法政大学や星槎大学など様々な舞台を踏破しながら、探究を継続している。ここ「NOVEL DAYS」では、同人サークル「スライダーの会」が、地球研究会の投稿アカウントを兼任している。