セリフ詳細

 日本窒素(チッソ)肥料の社史は、まだ町村であった20世紀初頭の水俣に遡る。大日本帝国と共に繁栄した新興財閥コンツェルンであり、朝鮮半島でも活躍したが、公害企業に共通する傾向として、その労働条件は好ましくなかったと言われる。水俣病自体は、既に戦時中から発生していた事が後に発覚するが、公害問題として社会に認知されたのは戦後で、人間だけでなく魚類や猫にも発症した。水銀排水が水俣川から水俣湾まで拡大するに伴い、水俣だけでなく不知火海を渡った天草諸島でも症状が確認された。熊本県は水俣湾での漁獲操業を禁止し、熊本大学を中心に原因究明が進められたが、有機水銀説に懐疑的な東工大などの専門家や、日窒の企業城下町として恩恵を受ける「オール水俣」との対峙を余儀なくされた。折しも新潟県 阿賀野川でも新潟水俣病が発生し、訴訟が引き起こされる中、水俣工場が水銀排水を必要としない石油コンビナート生産方式に転換するに及んで、ようやく政府も公害病を認定した。学校教科書でも有名な四大公害訴訟が展開され、原告の訴えが認められた。しかし、被害者の受難はむしろここからで、補償対象となる患者の認定が紛糾し、偽患者不正受給騒動のような形で市民の分断が進んだ。更に、患者を差別していた人々や、水俣から関西などに転出した人々も発症が相次ぎ、公害問題は近年まで続いている。水俣の作物が売れなくなり、昨今の放射能風評と同じく、水俣という地名のイメージ悪化を招いた。

作品タイトル:ちがくぶ!地球研究会

エピソード名:風土と内発的発展 地球生命の歴史(綾町・水俣・南三陸)

作者名:スライダーの会  slider

62|科学|連載中|44話|274,160文字

短編, 青春, 高校生, エッセイ, シリアス, 一人称, 女主人公, 群像劇, 現代, 一話完結

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 東京 渋谷区の、とある私立学校に「地学(地球科学)部」という部活があり、私達の世界である地球(岩石圏・水圏・大気圏)と宇宙に関して、主に自然科学的な探究を行っていました。地学部の部室である「地学教材室」は理科館4階にあり、地学部で過ごした日々、ベランダから眺めた天地の景色は、部員だった私達の大切な思い出です。

 やがて卒業し、大学に進学するなどした私達は、地学部の理念を継承した活動を続けるべく、渋谷区や横浜市 青葉区の大学を拠点とするサークル「地球研究会」を結成しました。地球研究会は、地理学・地学などを中心に、私達が暮らし生きる世界を学び、その中に存在する自我を見詰める、総合的ネットワークです。

 現在は、ここ「NOVEL DAYS」に公式ウェブサイトを開設し、國學院大学・法政大学・星槎大学などの学生・卒業生らが参加し、論文や随筆を投稿しております。大学の課題レポートとして執筆した小論文も掲載しているので、学業の参考になるかも知れません。アイコン・イラストの登場人物はフィクションですが、本文で取り扱っているのは現実世界のテーマです。


【詳細】

 地球研究会は、國學院高等学校地学部を母体とし、その部長を務めた卒業生らによって、2007(平成十九)年に「地球研究機構 國學院大学地球研究会」として創立された。國學院大学においては、博物館見学や展示会、年2回(前期・後期)の会報誌制作など積極的な活動に尽力すると共に、従来の学生自治会を改革するべく、志を同じくする東方研究会・政治研究会と連合して「自由学生会議」を結成していた。

 主たる参加者が國學院大学を卒業・離籍した後も、法政大学や星槎大学など様々な舞台を踏破しながら、探究を継続している。ここ「NOVEL DAYS」では、同人サークル「スライダーの会」が、地球研究会の投稿アカウントを兼任している。