セリフ詳細

【人間は、生まれながらにして、他のどんな人間とも平等に、あるいは世界における数多くの人間と平等に、完全な自由への、また、自然法が定めるすべての権利と特権とを制約なしに享受することへの権原をもつ。それゆえ、人間には、自分の固有権、つまり生命、自由、資産を他人の侵害や攻撃から守るためだけではなく、更に、他人が自然法を犯したときには、これを裁き、その犯罪に相当すると自らが信じるままに罰を加え、自分には犯行の凶悪さからいってそれが必要と思われる罪に対しては死刑にさえ処するためにも、生来的に権力を与えられているのである。しかし、政治社会は、それ自体のうちに、固有権を保全し、そのためにその社会のすべての人々の犯罪を処罰する権力をもたない限り、およそ存在することも存続することもできないから、政治社会が存在するのは、ただ、その成員のすべてが、(自然法を自ら執行する)その自然の権力を放棄して、保護のために政治社会が樹立した法に訴えることを拒まれない限り、それを共同体の手に委ねる場合だけなのである。こうして、個々の成員の私的な裁きがすべて排除され、すべての当事者にとって公平で同一である一定の恒常的な規則によって、共同体が審判者となるのである】[『統治二論』:P392-3]

作品タイトル:「市民社会」と「公共性」あるいは「国家」とは何か?

エピソード名:15 ロック『統治二論』(3)

作者名:千夜一夜読書人  nomadologie

51|社会・思想|連載中|25話|58,896文字

市民社会, 公共性, 社会哲学, 哲学, 思想, 社会学, 政治, 民主主義, 国家

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「市民社会」と「公共性」、及び「国家」について学説を整理しながら考えていきます。