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>数打ちゃあたる


ぼくはIT畑出身なことが影響しているのだと思いますが、数打ちゃあたるが基本路線です。

事業なんかやってみなきゃわからん、というのは常にあります。大企業が新しい事業分野で新興企業に勝てないのは、社内稟議やエビデンスを重視するあまり、数が打てないことが最も大きいからでしょうね。

最近はぼくもだいぶ落ち着きましたけれども、20歳前後のころには週に1つはウェブサイトを立ち上げてみないと気が済まず、やってみてから判断するという訓練を繰り返してきました。もちろん以前と違って、今は簡単に立ち上げたりできないSI方面なので仕方ないですが、色々な状況が許せば毎週でも何か事業を立ち上げてみたいです。そもそも仕事だとか頑張るだとかいう発想ではなくて、これはゲームみたいなもので楽しいんですよ。


もちろん各方面ともに、職人としてのこだわりも持っています。しかし事業の成功とはほぼ無関係なもので、まずは銃剣突撃してみて、その場に橋頭保を確保できたら、そこから先は職人としての楽しみも加わりますね。

もしかしたら他の方々とは順番が違うのかもしれません。多くの人は「こだわり→そこで頑張る」なんでしょうか。自分は「銃剣突撃→そこに塹壕掘れたらこだわってみる」という感じです。


色んなチャレンジをしてきて、何も頑張っておらず毎日遊んでいるみたいなもので、ふと自分が今思い至っていることがあります。

「やっぱ最後は運だな」という身も蓋もないことです。逆に言えば、運は最後の最後で最も大きなポジションを占めるからこそ、試行回数が何にも増して重要ですね。


考えてみればこれは当たり前の話かもしれません。

ぼくらの世界この宇宙というのは情報で構築されています。あらゆる物質も、我々の感情も、時間すらもです。ぼくらの感情の動きも電気信号にすぎません。万物は情報です。そして現在、人間が理解(認識ではない)できている宇宙の最小単位は量子です。

この量子というのは(皆さんも重々ご存じのことかと思いますが)、そこに存在するようでいて存在しておらず、逆にいえばすべての場所に同時に存在し、結局のところどこにあるかわからず、ただ確率によって居所が決まっています。この量子が無数に折り重なることでぼくらの実態が構築されており、今ここに存在しているにすぎません。

ぼくらの未来も、この量子のようなものです。未来にはあらゆる可能性が同時に実在しています。ぼくらが未来のその場所その地点に到達した瞬間に、無数の確率のなかからある一点に集約されるのです。そこには感情も努力も関係なく、ただ確率という数字がすべてを決します。どれほど用意周到の準備を積み重ねようとも、現実のぼくらには100%などという固定されたものはなく、その時点の確率が自分の命運を決めることになります。

とすれば、この確率という運命の女神をより良い形で自分に引き寄せるためには、やはり「こだわり」よりも「試行回数を重ねる」というほうに軸を置くのが適切だと言えるでしょう。


もちろんぼくは、こうした宇宙構造とか、量子のふるまいとかを意識して物事を決めてきたわけではないのですが、いま改めて考えてみても、自分はこのまま毎日でも銃剣突撃すればいいんじゃないかなと思いました。撃たれて死ぬのも確率ですし、まぁそれはそれで面白いじゃないですか。

作品タイトル:NOVEL DAYS リデビュー小説賞 座談会(第二部閉幕!)

エピソード名:リデビュー小説賞 座談会 #2-2

作者名:講談社タイガ公式  kodansha_taiga

228|創作論・評論|完結|9話|126,227文字

【リデビュー小説賞】, 講談社タイガ, 講談社ラノベ文庫, 講談社ノベルス

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「NOVEL DAYSリデビュー小説賞 座談会」

現在第二部も終了いたしました。

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■参加者
司会:作家 至道流星

講談社ラノベ文庫 編集長
講談社タイガ 編集長

リデビュー賞応募者のプロ作家の皆様

■開催概要
講談社が主催する「NOVEL DAYS リデビュー小説賞」についての座談会を開催いたします!
この賞を開催するにいたったの経緯や、現在の出版市況、小説に対する思いなどを、縦横無尽に熱く語っていただきます。

「リデビュー小説賞」の応募資格をお持ちのプロ作家の方々からのコメント、ご意見、ご質問なども大歓迎です。

*応募者や応募検討中の方へのご質問などにもお答えいたしますので、今回の座談会への参加者(書き込める方)は「リデビュー小説賞」への応募資格のあるプロ作家の方に限らせていただく形にて開催してみます。

座談会は、2018年10月18日(木)の16時頃~1週間後の25日16時頃までを予定しております。

リデビュー小説の開催概要はこちらをご覧ください。
https://novel.daysneo.com/award/kodansha001.html

*こちらの座談会は開催当時の紹介です