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>ところで、つけ麺ってなんであんなに辛い味付けが多いんですか?

聞かれたからにはきっちりお応えしましょう。

実は、広島の隠れ名物「広島つけ麺」も割と辛いのが多いです。

これについては、またおいおい紹介しようと思いますので、お楽しみを。


では、なぜ辛いのが多いのか?

答えは「ふつうのラーメンでは出せない、濃い味、辛い味がつけ麺なら出せるから」「逆に言えば、その味を出さないと、大半が食えたものにならないから」というのが答えです。

学生時代、わしはラーメン屋でバイトしとったこともあるんですが、

実は人件費や家賃などをのぞいた、ラーメン屋のコストの大半が「スープ」になります。

スープは材料費も手間もかかるくせに、なかなかメインとはなりづらい。

ラーメンを出す際にはもちろんスープをいれますが、

ここにみそやしょうゆを加えないと、味が薄くて食えたものにはならないんですな。

むろんあまり調味料を加えない塩ラーメンもありますが

そういうラーメンが覇権を取っていないことからも

純粋なスープのみのラーメンが好まれにくいことがおわかりかと思います。

(当然、調味料を加える塩ラーメンも存在します)


なので、つけ麺やまぜそば、油そばなどの「スープ無し麺」は

実は店にとっては非常においしい商品となるわけです。

なんせコストが安くて済みますから。

で、そういうのは大抵「濃厚つけ麺」「辛つけ麺」「油そば」のように

濃いか、辛いかという感じになっているわけですが、

その理由は「スープがない分、味が濃いめ、強めじゃないと、食えたもんじゃない」ということになります。

スープならばたっぷり麺に絡みますが、つけめんは汁がないぶん、ラーメンほどは味がよくからまないわけです。

ラーメンと同じ濃さのスープにつけて食べてもらうとよくわかりますが、

通常の濃さでは、口に入れたときには薄味で全然物足りないということになるでしょう。

逆に、通常のラーメンスープがつけ麺同等の辛さ、濃さであった場合は、

辛すぎたり、濃すぎて食えたものじゃないということになります。


なので、まとめると「つけ麺が辛い、ないしは濃厚なのが多いのは、つけ麺にとってちょうどいい感じにするため」であり、「通常のラーメンよりコストも抑えられて、店にとっては非常においしい商品となる」という感じです。


ちなみに、コストは下がりますが、代わりにつけ麺はしっかりゆでて、その後、しっかり水で締めてぬめりを取るという行程が必須となり、このひと手間を怠ると、ラーメン以下のものとなるので、店員教育が必須となることを付記しておきます(笑)

つけ麺はきっちり時間と手順さえ守れば、素人バイトでも極上のものができますが(つけ汁はあらかじめ作られているので)、それを怠ったときはプロでもぐだぐだなものになりますので。

作品タイトル:【乱入自由】今岡英二の「食べ歩き万歳!」

エピソード名:111話② 水沢競馬場の名物「中華ざる」

作者名:今岡英二  eijivocal23

2893|その他|連載中|717話|764,686文字

食レポ, 食通, グルメ, 食べ歩き, コント, 乱入, 美食

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食通としても知られた、文豪・池波正太郎先生はその著書の中で「男の人生というものは、毎日確実に死に向かって歩むことだ。なればこそ今日という一日が大切。今日が最期の覚悟で、日々の酒を飲み、飯を食え」といわれています。
一方で、洒脱にも「てんぷら屋に行くときは腹をすかして行って、親の敵にでもあったように揚げるそばからかぶりつくようにして食べなきゃ」とも。

かくの如き、名言を残せるかはさておき、わしも食レポなるものを徒然なるままにしてみんと欲す。


というわけで、どなたでも「乱入自由」、天衣無縫の食レポが、いまここに──開演!

※表紙画像は漫画家の慧亮来さん(https://twitter.com/Kei_AkiraHazime)に描いていただきました!