闇より昏き道

作者 一木隆治

[歴史]

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3件のファンレター

 北杜市武川町の一木一族の末裔、一木孝治です。
 ガンダムなどロボットアニメだけでなく、子供がテレビで見る戦隊モノでも魔法少女でも、戦いに巻き込まれる主人公は当たり前に正しい側の正義の味方で、敵は疑いなく悪の組織で倒すべき存在です。
 では、もし貴方が戦争に巻き込まれ、そして貴方が属する組織や国が悪い侵略者の側であったとしたら、貴方ならどうしますか?

 政治には特に興味はない、機械いじりが好きな心優しい平凡な青年、ペーター・ドレシャー。彼はナチスの時代のドイツに生まれ育ったというだけで、否応なくナチスの戦争に巻き込まれて行く。
 最初は二線級の歩兵師団で技術将校としてのんびり働いていたが、親衛隊のエリートであった従兄の誘いで親衛隊に入ってしまった為に、彼の運命は暗転して行く。
 機械工学を学ぶ為にドイツに留学していた日本人の学生杉村史生は、ペーターとはベルリン工科大学で共に学んだ学友であった。
 戦争が始まった1939年、史生は国防軍士官学校の生徒として出征するペーターを見送る。
 そして1945年4月の末、ロシア軍に重包囲され猛攻を受けて陥落寸前の荒廃したベルリンの街で史生はペーターと再会する。その時ペーターは、悪名高きナチス武装親衛隊の歴戦の将校となっていた。
 勝ち誇り略奪しながら進撃するロシア軍と激闘を続ける合間に、史生はペーターから、彼が時代に流され己の心の弱さもあって、ゲシュタポや強制収容所で働くことになり、どんな凄惨な体験をしてきたかを聞く。

ファンレター

お疲れさまでした。

完結、お疲れさまでした。ドイツ兵の視点で描かれる物語は、僕にとって新鮮で衝撃でした。日本兵の回想をその孫が聞く、という外枠があってこの物語に入りやすくなっていたと思います。最後の参考文献を拝見すると、作成にあたって相当な勉強が必要だったことも分かりますし、またそれらを読んでみたいとも思いました。有り難うございました。 ナチスという呼称は、やはり自称ではないですよね。ドイツ人が呼ぶところの「ロシア」についてもそういうことなのでしょうか? 当初からそれが気になっていました。その頃は既にソ連だと ... 続きを見る

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独ソ戦 12話まで

こんにちは。「悪」とされる側にいる「個人」の思いや行動。こんな悲惨な状況ではもちろんないですが、現実の、例えばお仕事世界にも置き換えて読める気がします。そしてここまで、人物関係や描写の詳細さにも感心して読ませていただいております。未読ですが独ソ戦の岩波新書も最近出ていましたよね。読んでみようと思いました。引き続きよろしくお願いいたします。

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興味深いです。

ファンレター失礼いたします。5話まで拝読しました。ドイツがソ連(ロシア)に攻め込まれていく時代が舞台となっているようですが、その中での個人のドラマが目を引きます。そしてまた、ゲルマン至上主義がどうして日本と同盟を組むのか、政治的軍事的にではなく、心情教条的な点でずっと疑問に思っていたのですが、その点をついた記載がありより引き込まれました。続きも是非読みたいと思います。よろしくお願いいたします。

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