東京伝説の少女  東京人狼八犬伝~サイコ・マグネティック・フォース~

作者 橋口武史

前編「摩天狼は満月に吠える」

 「帝都」・新宿。
 二十年ごとに東京に現れ、人を殺すという伝説の少女・キョウコは、夜明けのビルの渓谷に立っていた。

 夜の車道に倒れていた少女・東山京子を救ったあの日から、東大生・鷹城令司の身に、次々と信じられない出来事が降りかかる。
 東京伝説研究会からの誘いを受けた令司は、単なる伝説だと思っていたそれらの東京伝説が、その背後にある、社会の恐ろしい真相へとたどり着く道しるべであることを思い知らされるのだった。

 大斗会。

 現代の東京で町が無人化し、デュエリストたちが果し合いをする。
 東京地検特捜機動隊・新番組は令司たちを突け狙い、東大キャンパスを仕切る女王・海老川雅弓は、リアル人狼ゲームで東伝会を追い詰めていく。

 これが、自分たちの住む都の本当の姿なのか?

 万事休すとなった令司は、それでも取材を続けることを決心した。
 海老川雅弓も、新番組・ガンドッグも、彼らの手先であるゼニガネーター・花音も、あるところから遣わされていたのだ。

 東京帝国――。

 上級都民が作った影の国家。それこそが、すべての東京伝説の奥に潜む恐るべき秘密なのである。
 この東京で、山の手と下町の都民たちによる、「見えざる戦争」がずっと続けられてきたのだ。
 令司たちが出会った、下町学生連合の松下村塾大学鬼兵隊・久世隊長は、山の手を代表する東京学生連合の海老川雅弓に、果たし状を突きつけた。

 有楽町大斗会。
 ついに東京の天下分け目の決戦が、有楽町地球フォーラムで始まった。

後編「サイキック・メタル戦線」

 ファントムボールの伝説を追うため、令司たちは渋谷を訪れていた。
 そこに現れたのは、すっかり変わり果てた姿をした、失踪した荒木部長だった。
 渋谷が無人化し、彼らの目の前で、キョウコと荒木は史上最大の渋谷大斗会を戦う。

 PM――サイキック・メタル。

 それは、東京の命運を握る決闘・大斗会の際に必ず使用される武器の素材。
 車はたたき割られ、ビルは破壊され、突風が巻き起こる。
 思念が直接金属へと感応し、気・剣・体が一致した瞬間、人知を超えた現象が発現される……。
 秋葉で、東京タワーで、下町で、令司たち東伝会はさながら東京の迷宮へと入り込んでいったのだ。
 全ての鍵は、東京伝説の少女が握っている。
 果たして、東山京子はキョウコなのか?

 そして鷹城令司は、この見えざる東京帝国のマトリックスの解放者となりうるのか?

 東京伝奇―超合金―ロマン。

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