石刻師リョウ 草原の風
唐の玄宗皇帝の世も、即位後二十年以上経ち、たがが少しずつ緩み始めていた。唐の北には、遊牧騎馬民族国家の突厥(とっくつ)があり、両国は長年、争いと友好を繰り返していた。
唐の都、長安では、様々な文化や人種が混じりあい、人々が活き活きと活躍していた。そして東西を結ぶ草原や沙漠の道、オアシス都市では、ソグド人商人が交易を担っていた。
そんな時代に、主人公のリョウは、ソグド人商人の父と、長安の石屋の娘である母の間に生まれ、二歳年下の妹シメンと共に、長安の北、長城の外の草原で平和に暮らしていた。しかし、その集落を、唐の軍隊と思われる軍勢が突然、襲撃してきた。彼らはなぜ襲って来たのか、そして逃げるリョウとシメンはどうなるのか。
漢人でもなく、ソグド人でもなく、突厥人でもないリョウが、人は何のために生き、何のために戦うのか、厳しくもおおらかな北の草原の暮らしの中で、悩み、もがきながら成長する姿を描く。
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最終話まで拝読しました。
雲井さん、こんばんは。最終話まで拝読しました。 執筆・投稿お疲れ様でした。 草原の民への憧れ。現在の戦火をみても一層思いますね。 最終章にあった「それにしても、唐も突厥も無いよな。地面の上に境界線が引いてあるわけじゃないのに」 これだけではもちろんなく、グッとくる多くのセリフがありました。 やっぱりモンゴルに行きたいですね。 国家としては、ロシア・中国などに分断された「小さなモンゴル」でしょうけど……。 有り難うございました。