作品詳細

新ジャンル『詩小説』詩のような小説、小説のような詩

7621|恋愛・ラブコメ|連載中|255話|156,969文字

恋愛, 短編, 現代, 日常, 青春, 女主人公, ショートショート, カープ, ライトノベル, 大坂なおみ

目からウロコ。新たな『本』のカタチ。それこそが詩小説。詩+小説。CDを聞き流すように、ショートフィルムを観るように読める。女性の共感を得る物語。1から2を作るのではなくて、0から1を開拓しよう。

なぜ、『詩小説』なのか?
本、売れない時代に、新たな本のカタチを。
活字離れした読書に読みやすい内容を。
言葉選び、テンポ、表現を工夫。
忙しい現代人に。時間がなくても、時間を作らなくても、読めるサイズに。
あなたに寄り添う。様々にシーンにどうぞ。
ありそうでないがここにある。ここで、詩小説を日々投稿していきます。

詩小説とは?
詩+小説。詩と小説の融合。父が詩、母が小説、詩と小説のハーフです。
詩小説を説明するうえで、1番分かりやすい例となる作品が『筆記体の雨』

ご覧ください。

詩小説『筆記体の雨』 3分で切なく 大人の女性へ 新感覚

筆記体の雨―tomonoura―

雨が降る。雨が降る。言葉が降る。
取り留めもない言葉が降る。

達筆でもなければ、訂正の棒線もない。
ましてやアルファベットを丁寧に並べる余地もない。
勢いで、ペンを走らせた。感情のままに筆圧を込めた。殴り書きの文字は。

筆記体の雨。

空から降るhも、iも、sも、窓の向こうでアスファルトを濡らす。
突然の雨は土砂降りとなり、傘を持ち合わせていなかった私は、坂の上にある純喫茶へと逃げ込んだ。

珈琲を点てる香り。静かに流れるレコード。窓の外には筆記体の雨。
ブレンドの上で湯気が微かに揺れていた。香りを吸い込めば彼を思い出す。

恋をしたのは、低い声。
恋をしたのは、細い指。
恋をしたのは、背伸びしても届かない果実。

私は彼に色んなことを教わった。珈琲も無糖で飲めるようになった。キスも上手になった。フレンチトーストが作れるようになった。そして、許されない恋があることを知った。

ここは、港街。波止場からは、一日五往復の船が出る。
旅立ちを急かされても、私はここに立ち止まったまま。私に宛てた風の便りは今日も届かない。

あのホテルでふたり、何度目かの朝を迎えた。ベットから降りて、裸足のままカーテンを開いて、眺めた朝焼けの中、彼には大事な女性がいることを知らされた。

坂の上にあるこの純喫茶からは、港街を一望することが出来る。
今も尚古い建造物が残るこの街は、時間が止まったままの様。今の私と、とても似ている。

言葉は裏腹だ。「優しくしないで」なんて言ってみた。「頭なんて撫でないで」って言ってみた。そんな台詞を吐いた唇を彼のおでこに寄せていた。

この街にある港は『潮待ちの港』なんて呼ばれている。

どうやら私の波止場には良い潮は来ないらしい。もうどれくらい待ってみただろうか? ここへ立ち止まったまま、今も。

どうしてだろう? 思い出す景色は、後ろから袖をまくってくれる彼。
髪をひとつに結わってくれる彼。
窓から見えるあの小さな港で、彼の身体にもたれる私。

幸せそうな思い出が、企んだ笑顔で心をノックする。私は思い出を追い払うことが出来ない。

「ごめんなさい」

私は思わず泣いてしまった。誤魔化したいのか、平気なフリをしたいのか、大袈裟に笑ってみた。

「どうされました?」

カウンターの奥で白髪のマスターに尋ねられる。

「あぁ、いや、なんでもないんです。あれです。失恋しただけなんです。だから平気です」
 
隠したいのか、吐き出したいのか分からない私。頬を濡らした泪を拭き取ってもう一度笑う。

「泣くなんてズルいですよね」

 マスターはうつむき、ビンに紅茶の葉を詰める。

「好きだった、うん。好きだった。本当に、好きだった」

「どんなに追い越そうとしても、敵いっこないですよ。思い出には」

泪は溢れ返り、テーブルの上に崩れ落ちる。

雨が降る。雨が降る。
言葉が降る。言葉が降る。

筆記体の雨。

あの港から出航を告げる汽笛が鳴り響いた気がした。




大坂なおみ、錦織圭、カープ

応援コメント一覧

非常に嬉しい

わたしは、ゲーテ・宮沢賢治・ヘルマンヘッセの小説を好んで読みますが、彼らの詩人であった側面というのは、必ずなにを書いたとしてもそこに現れていますよね。 わたしもやはり以前、留学していたころに、ここで言われるところの詩小説のようなことを、大学の課題提出の作品として書いていました。 同じ志というか、同じような試みをされてらっしゃる方の作品を読めて、とても嬉しく思います。

言葉選びのセンスが素敵

歌詞にすれば良いような文章ですね。曲として聴いてみたい。

いい話は多いのに

一本ごとに読むと面白いのですけど、これ読者さんもくじ見たら普通全部読むのためらうと思います。 挫折された方、きっといると思いますよ。

正直これを小説として捉えるのはきつかったです

言葉遊びのセンスは素晴らしい。ですが、小説としてみるならストーリーの展開性の低さ(各エピソードにおけるセンテンスの決定的な量の不足に原因がありますね)また話数に対しその結合性が薄く、同じタイトルの下に連続的に上げるより、吟味して絞ったものを再構成したら傑作たり得ると思います。辛口で言わせてもらうと、現状では玉石混交ともいえる軽いカオスが発生していて作品の価値をスポイルしている気がします。良い文章が多いだけに残念です。全体の文字数は、実際に画面を開いたときの読者視線の紙枚に対応してないので(紙媒体 ... 続きを見る

本になってほしい!

本棚に並べたい作品です。

読みやすい

色んな作品があるから飽きない。 短くて読みやすい。

清潔感のあるエロ

こじゃれた変態って感じ。 女性に向けた小説ってのもよく分かる。 セクシーな作家さん。

何度でも読み返していたい本

ずっと包まれていたくなるような本で、 きゅーと胸が熱くなります。 何度でも読み返したいです。

センスがキラリ

拝読させて頂きました。第一印象に「言葉選びのセンス」を感じました。嗅覚、感の鋭い作家さんという印象ですね。 大いに才能を感じました。 今後飛躍されるでしょうね。 文章を読んでて、この人、モテてるだろうなぁと。 独自の文才。羨ましいです。

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