引き金

作者 根本起男

[ホラー]

15

3,025

0件のファンレター

 傾きかけた東邦新聞の中でも存在感の希薄なお荷物部署である文化部では、その夏、部員たちが奇妙な事件に相次いで出くわしていた。神保佳那は、人気作家・奈須原千種の居所を探すうちに、彼女のルームメイトで女優として成功したゆかりが、占い師・寝栗妖子にはまっていたことを知る。佳那は、千種も妖子に接触していたとみて取材を開始する。
 咲野朋夏は、清掃工場で中学の同級生・谷村久美と再会。ごみ処理の副産物を使った彫刻に取り組む精一を紹介される。しかし精一が「神さま」と呼ぶ作品を朋夏に見せた途端、久美は取材に難色をしめしはじめる。朋夏は、久美が班長からセクハラを受けていることや、以前いた区役所で不倫していた事実をつかむが、その後、ごみを溜める“バンカ”で班長が死亡する。
 持田晋哉は、人気脚本家・絹井野啓が自らの少年時代をつづった朝刊連載用のエッセーの内容を確かめようと母親であるエミを訪ねる。エッセーは、三十年以上前に郷里の海辺の町で起きた少女失踪事件にまつわる告白だった。
 騒然とする文化部。やがて三つの事件に共通する“魔の証し”が社内でも見つかる。

ファンレター

ファンレターはありません