使者と死者の迷宮〈アースフィアの戦記外伝〉

作者 とよね

[ファンタジー]

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4件のファンレター

聖所冒涜の旅を続ける少女二人の逃避行×死者の王に取り憑かれた異能使いの追跡劇。
語れ。死者たちよ、語れ。



大陸は、増殖を続ける壁に呑み込まれつつあった。
生者は迷宮に暮らし、楽土を求めさまよう死者の巡礼団が、ときおり死にたい人を連れ去った。
迷宮を生み出しているのは、壁の中心の安らぎの地で織りなされる『壁の聖女』の歌。
けれど、いつの日か死者の巡礼団が安らぎの地にたどり着けば、世界の壁は消えると言い伝えられていた。

生きている鳥が姿を消し、機械仕掛けの鳥たちがカタカタと音を立てて飛ぶ冬の都市で、孤独な少女チルー・ミシマは本物の鳥を手に入れた。
それは異能使いを育てる学園の至宝、死者を呼ぶカワセミだった。

「カワセミが呼ぶ死者たちの後を追えば、壁の聖女のもとにたどり着ける」

たった一人の友人リリスと共に、チルーは学園から逃げ出した。

公教会によって少女たちの追跡を命じられたのは、死者殺しの異能を持つ青年。
一振りの処刑刀を手に、追跡者は革命の炎の中を駆け抜ける。
己の任務に疑問を抱きながら。

全15章。

■アースフィアの戦記とは
 遠い異星アースフィアを舞台に繰り広げられるファンタジー/SF小説群。

・かつて地球人に創造された『言語生命体』と呼ばれる新人類が繰り広げる戦模様を描いた本編
・言葉を魔法のように操る『言葉つかい』たちが異能バトルを繰り広げる外伝

 とで構成されています。
 すべて独立したお話になっているので、どの作品からでもお読みいただけます。

■執筆時期2020年1月〜2022年9月

■登場人物紹介欄のアイコンは、無料アイコンメーカー「charat(キャラット)」様のサービスを利用させていただきました。

ファンレター

お久しぶりです

佐藤子冬です。 とよね先生からお薦め頂いたこの物語を拝読させて頂きました。 全てに救いをお与えになる。この結論を先生は既に得ていたのですね。 たとえ、真実がどれ程残酷であろうとも世界は限りなく美しいです。 だからこそ神の存在を実感出来ます。 スアラさんの苦難を自分と重ね合わせた時、自分は未だ感謝の境地に立っていないことも感じました。 しかし、それで良いのだとも感じました。 彼女達が最期に得た様に一人一人が特別なのだと改めて教えられた気が致します。 頭では判っていても心が追いつかな ... 続きを見る

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魂の歌が響く場所

「冗談ではない。いなくなってほしくない、なくなってほしくない、ただそれだけで愛だったのだ。何を難しく考える必要があったのだろう」という言葉の重みは、この作品を読み通してきた者たちに愛とはなにかを問いかけてきます。「他に道がないのなら、開けて進むしかないでしょう。罪の扉でも、痛みに満ちた扉でも……」の言葉通り、僕らは扉を開けて進む。「荒れ野に花を見出すのは、その荒涼たる地平に恐れをなしつつも、目を凝らす勇気のある者でしょう。野の鳥の性質も必要です。人間が生きていくには」……と、そう、つまりはそうい ... 続きを見る

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レビューのお礼です。

成瀬川るるせ様 拙作へのレビューをありがとうございました。 私のほうが評論・感想・感想のお礼といった小説以外の文章が苦手なものでして、返信が遅くなってすみません。 いただいたレビューの中の「やりとりの軋み合い」という一文がとても的確で驚きました。言われてみれば、そうですね。この小説の登場人物たちの関係をマシンで例えると、不良品はないし、はめ合いもかみ合いも悪くないのにやたら異音がして軋むというか、ひたすら潤滑が足りていない状態なのだと。 るるせさんに仰っていただいて初めて気がつき ... 続きを見る

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遠い異星の革命の魔女

この作品は、SFファンタジー作品である。神学的なSF的設定で世界観が出来ている。その上で、ダークファンタジーである。ファンタジーは大別するとハイファンタジー、ロウファンタジー、ヒロイックファンタジー、ダークファンタジーの四つがあり、ファンタジーのサブジャンルの人気はその四つをぐるぐると周回することになる(なお、ロウファンタジーとは僕、成瀬川るるせが書くタイプの作品などを指す)。その中の、正真正銘のダークファンタジー。ただ、そのSFやファンタジーというのはカテゴリでしかない。とよねさんの描く小説の ... 続きを見る

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