奇譚草紙

[ファンタジー]

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50件のファンレター

奇譚――奇妙な味の短篇、あるいは変てこな短い物語を、ほろほろと書いてみようと思います。

※不定期連載です。

ファンレター

表現に衝撃を受けました

 「その仙人じみた超俗の雰囲気のうちに」からの表現に衝撃を受けました。繊細で怜悧な観察眼、というか感覚……読んでいてもヒヤッとしましたが、それは私の初めて体験したヒヤッ、でした。なんか、怖いでもなく、不気味でも無く、得体の知れない不思議な事に遭遇したような。うまく言えませんが文章だけでこんな感覚が味わえることに愕然としました。指を噛む描写も、不気味なのですが美しかったです。  源氏物語は、最初の数頁で撃沈してしまったので、この背景にあるさらなる深みは味わえていませんが、これだけで読んでも独特の ... 続きを見る

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第8話 指

私は鈍くさいので咀嚼するのに時間がかかりました。南ノさんの意図とはずれているかもしれません、これは単なる私の妄想です。 この男性はずるいです。でも得てして意のままにならない異性というのは魅力的です。前半の「ヨットの白い帆に、一瞬鳥の影が映る」暗喩がずっとフックになりました。ずるいから別に好きな人がいても、主人公と同棲を始めてしまう。インテリで俗っぽさを捨てた雰囲気を纏いながらも、自分の価値を確認するために主人公をキープにしてしまうように思えました。“他者から求められている自分”を確認することで ... 続きを見る

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「鰻」と「指」、拝読しました!

「蛇」「鰻」「指」と漢字一文字のタイトルが続き、格好良いですね! 最近のラノベはあらすじが一見して分かる超長いタイトルが主流なので、漢字一文字だけってとても潔く感じます^^ 「鰻」を読んで、すでに失ったものに囚われ続けしまう人の心というのを感じました。それは、「鯉」や「右手」や「蛇」にも共通するテーマだと感じます。それから、「出前を頼む」という言葉、久しぶりに聞きました。コロナ禍の中で、ウーバーイーツが瞬く間に浸透してしまって、宅食(宅配食)という言葉にすっかり置き換わったように思います。「う ... 続きを見る

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品格ある「嫉妬」

指食い女って、激しい嫉妬心の持ち主というイメージでおりましたが、この作品の主人公の端正なこと! 三奈乃さんの格調高い文章の賜物ですね。 だけどその上品さの裏に、やっぱり彼女なりの荒々しさが見え隠れしているようで……その象徴が「指」なんですよね。食いちぎることまではできず、夢の中だけ。それだけに不満は睡眠障害へとつながってしまう。このエネルギー、今にも爆発しそうで、読んでいて怖かったです^^。 今回も完成度の高い作品を堪能させて頂きました!

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すくい上げる技術

本人もはっきりと自覚できない程度の、かすかな不快感。これをすかさずすくい上げる三奈乃さんの技術に脱帽です! 女の業を平気で野放しにする妹、鰻の脂っこさに重ね合わせる性欲……。主人公は過去のわだかまりを引きずるタイプだし、かなり愛情にも飢えていると感じますが、そんな自分を透徹した目で見ているようなところもありますね。 ラスト二行では、主人公が変わろうとしているのを感じます。父親との確執を乗り越えられたら、この人はまったく新しい恋人にも出会えるし、鰻もおいしく食べられるんでしょう。だけど、そこま ... 続きを見る

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圧倒されました

 多分ここに載せられた直後に読んでいたのですが、余りにも圧倒されて感想が書けませんでした。  最初の妹と父との描写は目の前で繰り広げられているようで、不快な気分で一杯になりました。そしてどことなく心に溝があるような父との関係、心が通じていたと(多分彼女は)信頼していた母の混迷に裏切られるような感じに至っては、殺意に近いような憎悪がわき上がってきます。ああ、自分にこんな強い憎悪の感情があったんだとちょっとびっくりしました。文章で惹起されるものってすごいんだなあと再認識。  彼女は救いを見つけた ... 続きを見る

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第12話 鰻

読んだときの驚きを上手く書けるか自信が無いのですが。冒頭、家族間の齟齬がザラザラして、気がつくと私は主人公に乗り移っていました。妹が“女”を前面に出し、これ見よがしに父親に甘える度に、私もひどく不快感を覚えてしまって。どんな突飛な話でも南ノさんの作品は「これは作者が体験したことなのかな?」と思ってしまうほど、至近距離で細部が肌に迫ってくるのです。 「妹と競い合う気はなかった」と主人公は距離を置こうとしても、妹は底意地悪く仕掛けてくる。妹の品の悪さに親は気がつかない。エッセイの“喪服”から回想に ... 続きを見る

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白熊

夢を占う白熊の物語、とても楽しく読みました^^ 北極の氷が溶けて流浪の民になった存在は、ユダヤの民と重なり、切なく思いました。 後半はあっと驚く展開で、びっくりです! 巨大魚にのみこまれたヨナの話を思い出しました。ドストエフスキーの『鰐』には、鰐の腹中で優雅にくつろいでいる男が描かれます。この鰐の腹は、監獄と流刑の寓意だと言われています。本作の「わたし」は白熊に包まれてやすらぎを感じているのですね。「千の夢を見る」という美しいフレーズが心に残ります。最初と最後に描かれる白山吹の花も、想像してう ... 続きを見る

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「わしを鬼にしたのはそなたではないか」という男の声に、はっとさせられました。結局のところ、一番恐ろしいのは主人公を含めた人間なのですね……。異形の蛇も、鬼になった男も、人間の弱さの表れだという気がしました。主人公は何の罰を受けているんでしょう。どうか彼女に救いの手が差し伸べられますように。 平安時代が舞台で、純文学で、となるとぱっと思い浮かぶのは芥川龍之介ですが、三奈乃さんの作品はさらに独特の色香を放っているように感じます。銀色の月光に溶けていく涙が、たとえようもなく美しかったです。

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11話 蛇

こんな作品を生み出せるなんて、やっぱり私、南ノさんのファンです。「●はおそろしい。そして、●は猶おそろしい」がリフレインして、本当にその通りだと……。他者なんて永遠に把握できない未知の生き物だし、でも自分のことだってまだ断片的にしか理解できていないのかもしれない、自分の中にはまだ窺い知れない他者が潜んでいるのかもしれない。自分も他者もわかったつもりになると痛い目にあう。でもそんな解釈が無意味になるほど、物語世界は恐ろしいほどに美しいです。カタルシスを覚えるワードが随所随所にあって……ああ、いつか ... 続きを見る

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再度「右手」「白熊」

誤解を恐れずに言うと、私、南ノさんの痛みがわかるような気がするのです。私は聞くのが苦手で人の話が上滑りするぼんやり振り、幼少期はアトピーもあったのでお察しください。小学校の頃はとにかく周囲と足並み揃えることに必死でした。学校とは「普通」を獲得するためにしのぎを削る場所。(笑)そうやって自分を取り繕っていると、素の自分に戻れる本だったり音楽だったりが大切な居場所になるのです。私は「右手」「白熊」を読んだとき、物語の根底に流れる「孤独」が、自分に寄り添ってくれるように感じました。だから大好きなのです ... 続きを見る

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白熊

母体回帰願望って、男性が持つものとして描かれることが多いように感じますが、女性だって傷ついて、何かにすがりたい時がありますよね。主人公を大きく包み込む白熊は、そんな女性たちが無意識に求める安らぎであるように感じました。 「黒曜石に似た白熊の眼に、わたしはいつも、この世界に対するごく控え目な思慮深さといったものを感じて心打たれるのだ」。三奈乃さんの文章って、本当に美しく魅力的! この筆力が、物語の世界へと引き込む原動力ですね。

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右手

先日は「武侠小説」について丁寧に教えてくださり、ありがとうございます! おすすめ作品、探してみたいと思います^^ 老舎の作品はまさに『らくだのシアンツ』を読んだんです。主人公がどんどん不幸になっていき、悲しい話でした。でも、情景描写は生き生きとして素晴らしかったです。 今回の『右手』は川端の『片腕』オマージュなのですね。学生時代に全集を借りて読みました。直接的な性描写はないのに、なぜかとてもエロティックな印象を受けた記憶があります。フェティシズムなんでしょうか…。何かで絶賛されていたので読んで ... 続きを見る

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白熊に会いたい

私と白熊の奇妙で静かな日常から、だんだん「私」の深層に話が及び……。最後の展開はなんだか魂を食われたようで怖くもあり、救われたような気もするし。不思議でそして原点回帰したような気分になりました。私も白熊に会いたい、そして頭のてっぺんをスリスリしてみたいです。(夢は見ているのですが、残念ながら覚えてないンですよ……)このお話大好きです。

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第10話 白熊

もう、最初の行で「あ、私、これ好き」ってなって、読み進めるうちに私の大好物が目白押し。登場人物の白熊が、紳士的でウイットに富んでいて温かさが伝わります。軽妙で粋な音楽のようなストーリーが、ラスト近くで深い音色に転調して思わずハッとして……陳腐な表現ですが、私も主人公と一緒に癒やされました。ところどころにさり気なく置かれた言葉が、優しい色の宝石みたいで、私、この小説大好きです。

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何という

何という上質なファンタジー! 一気読みするのはもったいないと思いながら、結局息つく暇もないほど一気読みしてしまいました(笑)。 どれも素晴らしい出来栄えですが、私は「河神」がツボでした。主人公の運命がどうなっちゃうんだろうと先を追わずにはいられないし、異国の言葉で書かれた単語の一つ一つに、見事に別世界へといざなわれます。倭寇の言葉がありましたが、明時代あたりのイメージなのでしょうか。この河神が出てくる長編も読みたいな~などと思ってしまいました。ほんと、素晴らしいです! 「右手」もコミカルで楽 ... 続きを見る

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河神

若く勝気な妓女と謎めいた河神のやり取りから、腐敗官僚への鉄槌に思いがけず急展開し、楽しませていただきました! 三日連続で通っていたのは、ターゲットが店に来るのを待っていたのか…。投壺ばかり彼女にさせて、「後できっとやっておいてよかったと思うから」と予言めいたことを言っていたのは、ターゲットの官僚が投壺で妓女を辱める遊びを日頃から好んでいたからでは…。など想像がふくらみました^^ 「侠」という職業は、どんなニュアンスなのでしょうか? やくざやマフィアのような感じですか。武侠小説というのを読んだこ ... 続きを見る

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右手一、二、三

コケティッシュさとユーモアがある小説。主人公は内心は酷く傷ついていて、妄想を仕立て、妄想に慰めてもらうことで再生するようにも読める。 しかしそれよりも私は、この小説のところどころで心が引っかかり、いろいろ思い出してしまいました。くだらない自分語りですが、昔、つき合っていた人と別れを予感し、その時は淡々と帰ってきたけど、家に着いてから主人公みたいな泣き方をしたこと。また別にショックな出来事があったとき、(右手ならぬ)野良猫親子が住みついて振り回され、子猫の鳴き声が「自分の代わりに泣いている」と感 ... 続きを見る

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ぬばたまの

二人の女性の愛憎入り混じった関係が印象深いです。高子はわざと難しい問題を出して相手を困らせたかと思えば、池に落ちた彼女の快復を心底から祈る。倭文子は自分のせいで高子が虐待されたことを謝りながら、その傷によって消えない絆(しばられるという意味での絆)ができたことを、どこか喜んでいるようにも感じられました。二人とも女性であることが絶妙な設定だと思います! 高子が男性であれば、因習の田舎から倭文子を救い出して、二人で都会へ…という未来が想像できますが、女性であるからこそ、都会に出る高子も、田舎に残され ... 続きを見る

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右手読了

 カワイイ、私もこんな可愛いいたずら君と同棲したい! 最初は普通のカップルの話から始まったはずなのに。はてさて何処からこの不思議の芽が出てきたのか。まるで手品のように不思議世界にとりこまれてしまいました。

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