辻沢のアルゴノーツ ~鬼子のえにしは地獄染め~

[ファンタジー]

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【ガンバル女子大生のフィールドワーク・ファンタジー】
フィールドワーカーの女子大生が血塗られた鬼子のエニシに目覚め、
屍人(ゾンビ)になった親友を救いに地獄へ行く話。

【あらすじ】
第一部
「夕霧物語」(禿の伊左衛門による名妓夕霧太夫の物語)
「辻沢ノーツ」(ノタクロエが記録するフィールドノート)
 ノタクロエは社会学を専攻してフィールドワーカーを目指す大学3年生。
所属する鞠野ゼミの夏休みの課題はフィールドワーク実習。
クロエは挨拶とか準備とかしなければならないのに5月になってもフィールドワーク先が決められないでいた。
そんなクロエに鞠野先生が勧めてくれたのが辻沢だった。古くは遊里であり吸血鬼伝承が残る特殊な地域だが、N市の衛星都市としてベッドタウンとなり、コスプレで賑わうヴァンパイア祭りが有名になったりと現代化著しいフィールドでもあった。
 他に行くあてのないクロエは、友人のミヤミユとサキと一緒に辻沢にフィールドに入る事を決める。連休中、鞠野先生に町の協力者への挨拶に同行してもらうも、クロエの気分はドナドナ状態。
 そして夏休み。フィールドに入ったクロエを待っていたのは、いつ行っても陰気で暗く気味の悪い青墓の杜、何かが潜んでいそうなジメついた地下道。拠点にしている屋敷のヴァンパイアみたいな人たち。そして秘密のサバゲーにはまる、他所から来る暗い顔をしたゲーマーたちだった。
 フィールドがその闇の姿を現してくる中、クロエはフィールド調査で知った「夕霧物語」がいつも見る夢と同じ内容だと知る。
そして、自分とそっくりの少女ユウの出現によりクロエは思ってもいない方向へ導かれてゆくのだった。

第二部
「辻沢日記」(コミヤミユウによるセルフライフドキュメント)
クロエの同級生のミヤミユことコミヤミユウは「鬼子」のユウの「鬼子使い」として秘密の生活を送っている。必死にその使命を全うしようとするミヤミユだが、ユウは反対にその宿命から逃れようとしていた。鬼子神社でのフィールドワークからエニシを逃れる糸口を『夕霧物語』に出てくる「けちんぼ池」の存在に見出してゆく。ミヤミユはユウの奔放な生き方に振り回されつつも二人で生きてきた壮絶な半生を振り返る。

第三部(最終部)
「書かれた辻沢」(フジノミユキによるオートエスノグラフィー)
クロエの祖母の死によりクロエの鬼子使いの任を引き継いだフジミユことフジノミユキ。
新米鬼子使いとして、またエスノグラファーとして多忙を極める生活を送っていた。
鞠野先生に中学生でエスノグラファーとして見出されたフジミユには特別な才能があった。
それは「読む力」だ。
どんな場所にも誰語ると無く織りなされ積み重なった土地の記憶というものがある。
フジミユは言葉にならない、そうした土地の記憶を「読む」ことができるのだった。
これまでフジミユは辻沢を、あまりに濃密で複雑すぎる土地であるため避けて来たが、
クロエの鬼子使いとして辻沢に入り、初めて土地の記憶を「読み」始める。
そこで目の当たりにするのは、クロエの苦悩、双子の姉妹ミヤミユの壮絶な半生の物語だった。
その中で、ミヤミユがけちんぼ池への行き方を、あと一歩のところまで突き止めていたことを知る。
そして何としてもミヤミユの願いを叶えるため、敵と闘いけちんぼ池を見い出そうとするユウへと傾倒してくのだった。

新たな夕霧物語。エニシから解放され未来へ向かう鬼子と鬼子使いの記録です。

夕霧と伊左衛門
ユウとミヤミユ
クロエとフジミユ

3つの赤い絆が織りなすもの、それは……。

【構成】
長編。準備原稿528枚を改訂しながら投下します。
第一部はクロエのフィールドノート「辻沢ノーツ」と合間の「夕霧物語」、
第二部はミヤミユによるセルフライフドキュメント「辻沢日記」、
ここからは完全書き下ろしになります。
第三部はフジミユによるオートエスノグラフィー「書かれた辻沢」です
結部は伊左衛門による当世語り 「夕霧物語 えにしのゆくえ」です

<書き下ろし第一稿>

書影の背景は、PAKUTASO(Yukillow様)よりお借りしています。
https://www.pakutaso.com/20160221035post-6837.html

ファンレター

「執筆経緯~等」読み応えがありました

 お礼を言いたいのはこちらの方です。アルゴノーツを読むのが日々の楽しみでした。読んだことのない浮遊感のある冒険ファンタジーで、それだけでは無いいろいろな要素が詰まっていて、胸を高鳴らせながら読みました。何でも無い一幕があとで、重要なポイントになってくる、あんなに緻密に構築された物語が一部「自転車操業」だったなんて信じられません。作者が生み出したほやほやをいただいていたわけですね。どうなるの、どうなるの? と読むたびに早く次回更新が来て欲しいと喉から手が出る思いでした。キャラも魅力的で、そして文章 ... 続きを見る

返信(2)

面白すぎる!!!

「面白い」はinterestingの方。冒頭からまるで階段を踏み外したかのような展開をみせられてびっくり。まったり今どきの彼女たちが始めたフィールドワークの影にちらりちらりと謎が見え隠れ。背後には少し不気味な民族学の香り。読む手が止まらず、最新話まで一気に読んでしまった。作者の知識の深さが行間から滲み出てる。面白すぎる!!!

返信(1)