贖罪の屍者

[ファンタジー]

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 今を隔てること、永劫の彼方。
 十種の人類が神々の庇護のもと、共に生きる”白銀時代”の真っただ中が舞台のハイ・ファンタジーです。

 屍霊術師の女、パペッタに魂を抜かれ、その魂を他人の腐乱死体に押し込められた「俺」。
 自分が何者なのか、どうしてそんな目に遭わなくてはならないのか。
 一切が謎に包まれたまま、「俺」は山中の荒れ果てた墓地に放り出され、「因業(カルマ)」の呼ぶ方へと彷徨い始めます。
 屍霊術師パペッタは、それを「俺」の「贖罪の旅」だと言うのですが……。

 「俺」の罪と、課せられた「贖罪」とは?
 その果てに「俺」を待ち受けているものは? 

 転生ものではない地味な異世界ファンタジーですが、少しでもお楽しみ頂ければ幸いです。
 よろしくお願い致します。
 
 なお、作中に登場する”聖ユーデット”/”死の太母(マーテル・マカブレス)”につきましては、ご興味があれば『死の太母の物語』をご参照下さい。

 ※登場人物紹介のアイコンは、一部を除いてかなり無理やりなので、
  順次差し替えていく可能性があります。ご了承下さい。
 ※更新は、日々少しずつ重ねてまいります。
 ※本作はエブリスタさまにも掲載されております。

ファンレター

自分の罪が何かもわからないまま、目的地を目指す屍の男の行く先は

【物語は】
ある男が、自分の姿を鏡で確認するところから始まる。鏡に映し出されたのは、目を背けたくなるような自分の姿。それでも男は自分の姿を確認し、自分の現状を知る。その後現れた女により説明を受け、納得がいかないままではあるが、彼女の言う”贖罪の旅”の第一歩ともいうべきなのか。
彼女の待つ場所へと向かうこととなる。見覚えのある様な気のする、ブローチを思わせる留め具を胸に。果たして彼は、無事に指定の場所へたどり着けるのだろうか。

【主人公とその行く手】
早々に、冒険者から追われることとなる主人公。屍に追われるという映画は数あるが、屍が人間に追われる視点で描かれる物語は、とても斬新だと感じる。その理由は、屍に心がないというイメージによるものなのかも知れない。

彼は何度も危険に遭遇しながらも運が良いのか、自分を隠す手段を見つける。とてもハラハラする展開である。

主人公は、自分が屍になる以前のことは全く覚えていなかった。(本体は別にあり、魂だけをこの屍に移されたという事のようだ)
指定された場所が分からぬまま、自分を追っていた冒険者が話していたことを元に、一番近い街へと向かう。その途中では襲われることとなるが、それは彼にとってターニングポイントだったのかも知れない。最初に目指した街でも、冷や冷やさせられるが、彼はどうやらとことん運がいいらしい。
ここでの出会いが、彼に幸運をもたらすのだろうか?

【世界観・舞台の魅力】
この物語は、ある女に魂を屍に押し込められ、贖罪の旅をしろと指示され展開されていく。この世界では、2種類の屍がいる様だ。それは屍者、屍師であり総称を不死者という。(詳しくは本編参照)彼はどちらかに属するが、その中でも特別であるらしい。詳しいことは物語の中で、分かって来る。

重要なのは、動く屍がその辺にいる世界であり、それを狩る冒険者がこれまた沢山いるという事だ。主人公はそんな危険極まりない状況の中、何処にあるのか分からない目的地に、向かわなければならない。自分の肉体を求めて。

そして自分がどんな罪を犯してこんな状況になっているのか分からないままでもある。屍になる前の過去については、少しづつ記憶の欠片を拾うような感じで進んでいく。ただし、思い出せるわけではない。
一体彼はどんな罪を犯し、このような事態になってしまったのだろうか。そして彼は記憶を取り戻し、自分の罪が何だったのか知ることは出来るのだろうか。

【物語の見どころ】
設定が細かく、それに対しての説明も丁寧である。主人公が狩られる側というのもあり、とてもドキドキハラハラする物語だ。とにかく運がいいとしか言いようのない強運の持ち主であり、そんな彼が危機を乗り越えていく様が、見どころの一つではないだろうか。
そして少しづつ手に入れていく記憶の欠片。これらが一体何を指示しているのかと、好奇心を刺激されるのだ。全体像がなかなか掴めないので、続きがとても気になってしまう作品でもある。(エブリスタ版P58まで読了)

果たして彼は、自分の肉体を取り戻すことが出来るのであろうか?
そして彼の犯した罪は何だろうか。
あなたもお手に取られてみませんか?
狩られる側のハラハラドキドキ感は、なかなか味わえるものではありません。そして、彼の贖罪の旅の結末を是非、その目で確かめてみてくださいね。
お奨めです。

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