青銀の風

[ファンタジー]

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122件のファンレター

「波間の真珠」と呼ばれるオアシスに作られた美の砦、美術工芸研鑽学院。そこは周りを砂漠によって囲まれ、他国の干渉を受けることなく自由な芸術が花開いていた。しかし砂漠を取り囲む3つの国の均衡は崩れ、美の砦にも暗雲がたちこめる。
 絵師を目指し砂漠を越えて美術工芸院にやってきた明朗快活な青年、麗射はこのオアシスで個性的な人々と出会いながらも、次第に砂漠を囲む国々の動乱に巻き込まれていく。
 
 魔法のないファンタジーです。2020年5月までセルバンテスで連載をしていました。これからこちらにお世話になります。よろしくお願いします。

ファンレター

感動しました

「攻防編」読了しました。
これまでの冒険譚、青春物的な展開では、どんなに麗射たちが苦難に見舞われてもワクワクとした高揚感がありましたが、オアシス攻防戦が進むにつれて徐々に悲愴感が濃くなっていき、なかな好転しない展開にヤキモキしました。
これまでの作中、生き生きと躍動していた登場人物たちが肉体的にも精神的にもやつれ、追い込まれていく様子が読んでいて、ほんとに痛々しい。
いろんな思惑や感情が交錯する中、戦わなければならない悲哀、争いの凄惨さがヒシヒシと伝わってきました。
甘さの欠片もないような状況の中、オアシスを守るため、生き残るため、そして友のために、次々に襲いくる難題に持てるすべてを懸けて抗う麗射たち。
時には苦渋の決断を下し、時には犠牲を払い、それでも光明を見出し得ない。
でも、諦めない。
どんなに困難な状況に陥っても必死に生きようと足掻くその姿、大切な人のために犠牲になることも厭わない姿、とても崇高に思えました。
特に、127話の展開には引き込まれました。
読んでいて、悲しさの中にも美しさや尊さを感じました。
あそこで散るのはやはり爆花を作った火翔しかいないのでしょうね。
こうして感想を書いている間もその姿が思い出されて泣けてきそうです。
また、牙蘭や凱斗たちのように自分の責務をまっとうするために大切な人との争いに臨む人たち。その男の美学とでもいうのでしょうか、そういった面も含めて男たちの悲哀、葛藤を描き切ったその筆力にただただ脱帽です。
そして128話、泣きました。
小説を読んで涙を流したのなんてかなり久しぶりです。
今、書いてて思い出し泣きしそうです……
麗射たちは今回の攻防を経て、いろんなものを、思いを背負ってしまうのでしょうね。もう誰一人少年ではいられない、一人の男としてこれからの話が進んで行くのでしょうね。
いったいどんな展開になるのでしょう。
またつづきを楽しみにしています。
その間、他の作品を読ませていただきます。
それもすごく楽しみです。
これからも応援しています。
感動をありがとうございました!

返信(1)

 お読みいただきありがとうございました。お返事が遅くなり申し訳ありません。今ちょっとバタバタしておりまして……。
 貴作「地底の鳥」で、身をよじるほど悲しくなったり、手を握りしめて青年達の活躍を応援したりしています。たちまちさんからこのような温かいご感想をいただき、光栄です。
 本作「青銀の風」は常にギャグものしか書いてこなかった自分が、初めて真っ正面から向かって書いた話です。対決とか、戦いとか、ちょっと臭いくらいの友情とか、今までであれば恥ずかしくて書けなかったマジベタな展開も逃げずに書いているので、時々、読んでくださる方、みなさんもたれて胃が重くなるのでないかとすごく不安になっておりました。
 とくに127話は自分も「この作者のご都合主義でこの展開はちょっと……」と思いながら書いたので、いろいろ思い直して反省も多いところです。今回、ご感想でフォローしていただき本当にありがとうございました。嬉しかったです。書いた後でいろいろ考えて「でも、戦争ってこういう悲劇を美談にするよね。だから読まれた方が違和感を感じられるのもまた、ありがたいのではないか」と、後付けで思い直し(←自分に超甘い)ています。自分が作る話にいろいろなご感想があり、いろいろな気持ちが錯綜しているのを感じる瞬間というのは珠玉です。ああ、作品を生きたものにしてくださっている、と感謝しています。優しいご感想をいただけて、最終話では泣いていただき、登場人物に変わって土下座したいほど感動、感謝しています。本当に感謝、感謝、感謝です。
 少年の匂いがする青年から、男性に変わっていく時の純粋な煌めきというか、(男女ともに)その青春の終わりかけのなんとも言えない切ない感じが好きです。「正義」とか「友情」「信頼」が大きな意味をもつ時期、彼らはちょうどその時期に大変な目にあって、これからどう変わっていくのか。私は舞台を用意するだけで、後は彼らがどう動くのかを観察していきたいと思います。
 これから戦争が激化し、舞台は波州、叡州に変わっていく予定ですが、今しばらくクールダウンして、できるだけ躍動するような展開にできたらなと思っています。
 しばらくバタバタしそうなので、もう少し落ち着いた頃に貴作をゆっくり読ませていただき、刺激をいただきたいと思います。
 ご感想大変ありがとうございました。