バイブル・スタディ・コーヒー ~スラスラ読める! 聖書入門

作者 mika

[歴史]

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79件のファンレター

バイブル・スタディの仲間たちの会話をちょっとだけ覗いてみてください。
寝ころんでスラスラ読める! 「物語」がわかれば、聖書は楽しい。
聖書を最初から最後まで読み通すのは大変です。途中でいやになってしまうことも珍しくないでしょう。
なんとなく難しそうでも、聖書のことばの向こうには、豊かな歴史と文化が広がっています。
どなたでも、実際に聖書を読んでみようというかたのお役に立てればうれしいです。


アイコンはTopeconHeroesダーヤマ様の「ダ鳥獣戯画」より使用させていただきました。

ファンレター

ヤコブの旅立ち/ヤコブの夢

今回も大変面白く読ませていただきました!
結婚相手を見つけるためのヤコブの「旅立ち」は表向きの理由で、実際は限りなく「共同体からの追放」に近かったんですね。そんな「もっとも孤独でみじめな」状態で見た夢が「神の恵み」だったというところが、とっても印象的でした。「神の雲間から太陽光が柱のように地上へ降り注ぐ現象」を「天使のはしご」と呼ぶのはこのお話からきているのですね。なるほど!…です^^
挿絵も大変興味深かったです。「はしご」と「階段」というのは同じ語源なのでしょうか、すごく立派な階段の絵(そう言えば、欧米の映画などでは死後の世界に必ず階段のイメージが出てきますね)があるかと思えば、シャガールのように本当に「はしご」のイメージで描かれているものもあるのですね。シャガールは聖書を題材としていても、いかにもシャガールらしい夢と幻想という感じの絵で面白かったです^^
でも、ヤコブが追放されることになったそもそもの原因はリベカの計略にあったんですよね。それもあって、4月17日に挿絵が追加された「アダムとエバ/カインとアベル」の章を改めて読み直しました。というのは、エバにしろリベカにしろ、大きな過ちに女性が関係していると読めてしまうところがあるような気がしたからです^^;
ラファエロの「アダムとエバ」では、「誘惑したのはエバではなく、蛇」として描かれているんですね。ヤコブの場合は、リベカの計略という点は動かしがたい事実ですが、それでも最終的に「神の恵み」を得ることになるのだから、結果から見れば必ずしも悪い事とも言えないのかな、とも思いました^^ もちろん、いくら母親から唆されたってヤコブも断ればいいのだから(その後、ヤコブ自身けっこうノリノリで計略を実行していたような…笑)、リベカばかりを責められないのかな、とかいろいろ考えてしまいました。

単独50000PV突破、おめでとうございます!
続きを楽しみにしております~(*^^*)

返信(1)

南ノさん、お忙しい中でいつもお読みいただき、どうもありがとうございます!
最近のスーパー戦隊ものでは、「ジュウオウジャー」(2016-2017)を見ていたんです。この作品はブルーとホワイトが女性でしたよ。レッドが父子家庭で父親と確執があり、母方の叔父のもとで育った設定で、時代に合った良いドラマでした。わたしはどちらかと言えばマーベル映画の方が好きなので、スーパー戦隊ものはまったく詳しくなくて、キャプテン・アメリカやアベンジャーズの方がシリーズ全作見ているので、熱く語れます~^^

ご紹介したブレイクとシャガールの名画、お楽しみいただけて良かったです。シャガールの幻想的な絵は、わたしもとても好きです! ほかには、ムリョーリョは「はしご」として描いています。ラファエロやギュスターヴ・ドレは、天まで真っ直ぐ伸びた「階段」として描いています。フィリップ・リチャード・モリスは「はしご」でも「階段」でもなく、光の道として描いていて、画家それぞれの想像力が面白いですね。
ヘブライ語の סולם という言葉は、「はしご」「階段」「傾斜路」の意味があるそうです。この単語の語根が、アッカド語では「階段」の意味を持っているそうです。(アッカド語は、聖書ヘブライ語のあいまいな言葉の意味を理解するための貴重な情報源なのだそうです)
創世記28章12節の訳を見てみますと、

ウルガタ(カトリック教会の標準ラテン語聖書)
Viditque in somnis scalam stantem super terram, et cacumen illius tangens cælum: angelos quoque Dei ascendentes et descendentes per eam,

KJV(欽定訳聖書)
And he dreamed, and behold a ladder set up on the earth, and the top of it reached to heaven: and behold the angels of God ascending and descending on it.

文語訳聖書
時に彼夢て梯の地にたちゐて其巓の天に逹れるを見又神の使者の其にのぼりくだりするを見たり

ラテン語でも英語でも文語訳でも「はしご」という訳語を用いていますね。文語訳聖書は、外国人宣教師を中心に英語の欽定訳と漢訳聖書(中国語訳聖書)をもとに日本語訳されたそうです。バイブル・スタディ本文でわたしが引用している新共同訳聖書は、プロテスタントとカトリックが共同で翻訳したプロジェクトで、重訳ではなく、ヘブライ語原文から日本語訳しているので、より原文のニュアンスに近づいているのでは、と思います。
考古学的には、古代メソポタミアの巨大な神殿ジックラトの至聖所まで通じる、地上から長く伸びた階段が、ヤコブの夢のヴィジョンと重なるのでは、とも言われています。

「アダムとエバ/カインとアベル」も読み返してくださり、どうもありがとうございます! 南ノさんのおっしゃる通り、母リベカにそそのかされたとは言え、ヤコブはそれを断ることもできたのだから、やはりヤコブ自身のあやまちなのだな、と感じます。
素寒貧で旅立ったヤコブは、もし神さまがいなかったら、伯父ラバンの家にたどり着く前に死んでいたのでは、と思います。

あたたかいお祝いの言葉を寄せてくださり、本当に感謝いたします! 次回はラバンの娘ラケルとヤコブの出会いのお話です。引き続き、おつきあいいただければ幸いです^^