物語の国の狼

[ファンタジー]

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「赤ずきん、君は...君は辛くはないのかい? お婆さんの家に行くことが」
 生きるために物語を演じる事が定められた世界。狼として生まれた自分を憎み続けてきた僕は、本番当日に一人の少女と出会う。
 赤ずきん役である彼女もまた、人には言えない傷を持っていた。
 
 悩みを抱えて生き続けてきた、狼と赤ずきんの恋物語。

ファンレター

切々と、じんわりと――よかった~!

 SFともファンタジーともつかぬ不思議な設定に戸惑いながらも、繊細な狼の苦悩、狼に向ける赤ずきんの真摯な思いが伝わってきました。
 奇妙な世界の枠組みの中に、現実世界の不変的な悲しみが浮き彫りになって、これは物語ではなく、今の私たちに直結する苦悩だという思いにかられました。抗いながらもなんとか物語を完結させようとする人々の困惑と、そして悩み抜いた末に行き着いた境地。
 私は、12話の、『「狼なら狼らしくしろ!」 ずっと僕の心に、突き刺してきた想い。そのものだったから』~16話辺りの展開が好きでした。矜持を持った赤ずきんの言葉、そして、手探りしながらも再度の挑戦をする狼。……心にぐっとくるものがありました。そして20~22話はもう、切なくて、じーんとしました。
 なんだか静かな勇気がわいてくるような読後感、よかった~!

返信(1)

 不二原さん、ファンレターありがとうございます。前回に続き、とても嬉しいです。
 12話からの後半は、この作品に込めたいと思っていたテーマを詰め込んだ部分なので、お気に召していただいたこととても励みになります。
 次回作、及び現在執筆中の『大きな幸せの木の下で』もゆっくりと更新していくつもりですので、少々お待ちください。
 頑張らせていただきます!