バイブル・スタディ・コーヒー ~スラスラ読める! 聖書入門

作者 mika

[歴史]

298

157,960

79件のファンレター

バイブル・スタディの仲間たちの会話をちょっとだけ覗いてみてください。
寝ころんでスラスラ読める! 「物語」がわかれば、聖書は楽しい。
聖書を最初から最後まで読み通すのは大変です。途中でいやになってしまうことも珍しくないでしょう。
なんとなく難しそうでも、聖書のことばの向こうには、豊かな歴史と文化が広がっています。
どなたでも、実際に聖書を読んでみようというかたのお役に立てればうれしいです。


アイコンはTopeconHeroesダーヤマ様の「ダ鳥獣戯画」より使用させていただきました。

ファンレター

日本での割礼

ファンレターで失礼します。
割礼が話題になっているので、ちょっとコメントさせていただきます。

すでに調べられているかもしれませんが、日本小児外科学会のHPに「包茎」の手術適応が載っています。その中に、「宗教上の理由」がしっかり入っています。もっとも宗教上の理由も、そもそもはそれ以外の(医学的・衛生的な)利点を重視していたからこそ導入された可能性はあるかなあ、と愚考しています。
実際、近年は外国人の日本在住者が、医療として包茎手術=割礼を子どもにうけさせているケースは多いです。人権的には、難しいところですが、施術に伴う安全性は高まっているだろうと推察します。
ちょっと気になるのは、日本人のお母さんが小さな子供の包茎を気にして、相談されるケース。新型コロナウイルスの件と同様に、情報の一部が独り歩きし、必要のない悩みを持ってしまう例があることです。

聖書から離れた話ですみません。

今週も有り難うございました。

返信(1)

村山さん、お読みいただきありがとうございます。村山さんの書評が公式Twitterで宣伝してもらえて、良かったですね!

おお、日本小児外科学会のサイトを調べてくださったんですね。日本ではユダヤ教徒やイスラム教徒は少数派なので、今回のお話で興味をもっていただけてうれしく思います。
宗教的な割礼は医療目的ではないので、「施術に伴う安全性」が配慮されるかどうかは、親の考え方や住んでいる国の法律によるでしょうね。ユダヤ教では伝統的に、医師ではなくモヘルと呼ばれる専門家が割礼を執り行ってきたそうです。麻酔なしで、「数滴の甘いワイン」のみの「自然な方法」で割礼を受けなければならないのだそうです。
スウェーデンでは2001年から、宗教的な割礼の際には医師か看護師が必ず麻酔を使用して施術することが法律で定められているんです。この法律ができた当初、スウェーデン国内でユダヤ教徒たちは強く反発したのですが、少数派であったために、ユダヤ教徒の要望は認められませんでした。
今回のお話で紹介したドイツの割礼容認法は、医師でなくとも専門家であれば割礼を実施してもよい、と定められています。これはモヘルによる施術を認めることで、かなりユダヤ教徒の要望に配慮した法律になっているんです。ドイツはホロコーストの過去があり、ユダヤ社会に負い目があるため、スウェーデンのような法律はできないのでしょうね。
ご紹介したイスラエルのラビ長メッツガーは、割礼を受けることで「最果ての地にいようと自分がユダヤ教徒であることを思い出せる」と言っていました。割礼はどこの国にあってもユダヤ人らしさ、自分のアイデンティティを失わないための「シンボル」なのだな、と彼の言葉から伝わってきますね。

個人的な意見としては、子供が自己決定できるまで割礼を待つべきだと考えます。ただ、自己決定力があるかどうかを見極めるのって難しい問題ですよね。
ユダヤ教徒やイスラム教徒の親に育てられ、その生き方しか知らずに育ったとしたら、たとえば15歳になった時に割礼を受けない、という選択が少年にできるものなのか、ちょっと疑問に感じます。アーミッシュの共同体では子供を学校に通わせるのは必要最低限のみ、高校まで通わせる必要はない、という考えです。オハイオ州で18歳まで学校教育を受けさせる法律が成立したとき、子供を高校に通わせないアーミッシュの親が起訴され、有罪判決を受ける事件が相次ぎました。有名なヨーダー事件では、当事者である15歳の少女が裁判で、高校に行くことは自分の宗教的信念に反する、という証言をし、被告は無罪判決を受けました。でも彼女の証言は、本当に子供本人の宗教の自由に適ったものなのか、洗脳ではないのか、という疑問はわきますよね。子供の学ぶ権利よりも親の宗教の自由が優先された司法判断に思えてなりません。

次回はアブラハムの家に御使いが訪問するお話です。引き続きよろしくお願いいたします^^