何度目かの満足を得た男は丸めたティッシュをゴミ箱に放り投げ、枕元のリモコンでテレビをつけた。
「いけない人ね」
　男の薬指の指輪を触りながら、女が意地の悪い笑みを浮かべる。
「お互い様じゃないか」
　女の左手にも薬指に光る指輪があった。
「そうね。恨みっこなしのお互い様ね」
　　*
　男はたまたま入ったバーで知り合った女とベッドを共にする。それは一夜限りで終わりにしたくないと思えるほどにいい女だった……。